2011年4月1日金曜日

リノベーション(マンション)

(2)クレオソート油R使用と化学物質過敏症罹患との因果関係の有無
(原告らの主張)
 原告B,原告C及び原告Dがシックハウス症候群ないし化学物質過敏症に罹患したのは,被告が使用したクレオソート油Rの化学物質を吸引したためである。これは,同原告らにシックハウス症候群ないし化学物質過敏症の症状が出現したのが,被告がクレオソート油Rを塗布した時点からであり,それ以前には何ら症状がなかったこと,そして,松沢医院の医師が「クレオソート用ガス吸入による疑い」と診断し(甲7ないし9),北里研究所病院の医師も「自宅の増築で発症」と診断していること(甲11)から明らかである。
 また,クレオソート油Rは,その使用上の注意において,床下等を含む家屋内での使用を絶対禁止しているのみならず,臭いが長期的に持続すること,これを除去するにはそのもの自体を焼却処分するか廃棄処分するしかないこと等が注意点として挙げられていることから,クレオソート油Rが危険性を有する化学物質であることは明らかであって,被告は,これを建物増築部分の土台に大量かつ広範に塗布し,少なくとも24日間にわたって漫然と放置したのであり,結果として,原告らがシックハウス症候群ないし化学物質過敏症に罹患したのであるから,因果関係の存在は明白である。
 仮に,100%の因果関係が認められず,他のアレルギーなどが化学物質過敏症に影響を与えたとしても,上述のとおり,主たる要因は被告によるクレオソート油Rの塗布であることは明らかであるから,割合的因果関係を認めるべきである。
(被告の主張)
 原告らの主張は争う。
ア 原告Bと原告Cの北里研究所病院医師作成の診断書には原因物質が特定されておらず,クレオソート油Rとの因果関係を証明するための検査結果も出ていない。また,松沢医院医師作成の診断書に「クレオソート用ガス吸入による疑い」(甲7ないし9)とあるのは,患者である原告らからの訴えをそのまま記載したものにすぎず,同医師も検査に基づいて原因物質を特定したわけではない。さらに,シックハウス症候群とは密閉された室内において発生したホルムアルデヒド等の揮発性有機化合物に暴露することにより発症するものであるところ,クレオソート油Rには厚生労働省が住宅室内における指針値を定める13種類の揮発性有機化合物は含まれておらず,これが使用されたのも屋外であったから,クレオソート油Rがシックハウス症候群ないし化学物質過敏症の原因となることは考えられない。
イ 原告B,原告C及び原告Dがシックハウス症候群ないし化学物質過敏症に罹患したのは,被告によるクレオソート油Rの使用ではなく,次に掲げる原因によるものと考えられる。
(ア)原告らは,本件工事の約3年前に本件建物を購入した際,内装及び外装ともに大規模なリフォーム工事を行ったのであり,この時に用いられた資材から化学物質が発散され,原告B,原告C及び原告Dはこれを吸入した。
(イ)本件建物の近隣には,P社上尾工場が存在しており,同工場からは毎日油のような匂いが漂ってきているところ,原告B,原告C及び原告Dはこれに含まれる化学物質を吸入している。
(ウ)原告Aは,新車を購入したところ,当該新車からは揮発性有機化合物が発散されていたのであり,原告B,原告C及び原告Dはこれを吸引していた。
(エ)化学物質過敏症の病態や発症機序は解明されていないところ(乙1),原告B,原告C及び原告Dは,従前からアレルギー疾患を有していたのであるから(甲21),原告らが主張する症状は,アレルギー疾患や精神的ストレスから発症したものと考えられる。
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