(コ)原告Bは,上記問診・質問票に対する回答では,現在の主な症状として,様々な臭いが気になること,めまい,両足の冷感やこわばり,外出先の建物内を息苦しく感じること,不眠を挙げ,このような症状が平成17年5月から始まったこと,考えられる原因として,防虫,防腐剤,クレオソート油Rの使用を挙げた。また,原告Bは,環境暴露及び過敏性の質問票において,現在,「頭痛,頭の圧迫感,いっぱいに詰まった感じなどの頭部症状」,「発疹,じんましん,アトピー,皮膚の乾燥感」,「外陰部のかゆみ又は痛み,トイレが近い,尿失禁,排尿困難などの泌尿・生殖器症状」については症状がないものの,「筋肉,関節の痛み,けいれん,こわばり,力がぬける」,「眼の刺激,やける感じ,しみる感じ,息切れ,咳のような呼吸症状,たん,鼻汁がのどの奥の方に流れる感じ,風邪にかかりやすい」,「動悸,脈のけったい,胸の不安感などの心臓や胸の症状」,「お腹の痛み,胃けいれん,膨満感,吐き気,下痢,便秘のような消化器症状」,「集中力,記憶力,決断力低下,無気力などを含めた思考力低下」の各項目について10段階のうち5程度の症状があること,また,「緊張しすぎ,上がりやすい,刺激されやすい,うつ,泣きたくなったり激情的になったりする,以前興味があったものに興味が持てないなどの気分の変調」,「めまい,立ちくらみなど平衡感覚の不調,手足の協調運動の不調,手足のしびれ,手足のチクチク感,眼のピントが合わない」の各項目について10段階のうち7程度の症状があること,しかも,これらの症状は,平成17年5月まで全くみられなかったことを申告したほか,車の排気ガス,タバコの煙り,殺虫剤,除草剤,ガソリン臭,ペンキ,シンナー,消毒剤,漂白剤,バスクリーナー,床クリーナー,特定の香水や芳香剤,清涼剤,コールタールやアスファルト臭,マニキュア,除光液,ヘアスプレー,オーデコロン,新しい絨毯やカーテン,シャワーカーテン及び新車の臭い,水道のカルキ臭その他の臭いによって,中程度から重度の上記各症状が出ることを申告した。そして,原告Bは,日常生活において,食事は摂れ,家事もひととおりできているものの,化粧品や防臭剤が全く使えないほか,旅行や車のドライブ,レストランなどへの外出など一般の社会的活動への参加が困難となっており,日常生活に様々な障害が生じていることについても回答した。
(サ)また,上記(ケ)の各検査のうち血液検査と尿検査では,赤血球MCVの大型化と尿に潜血が認められたが,その他の項目については全て基準域内との結果が出ており,特に異常は検出されなかった。他方,その他の検査では,眼球追従運動障害,平衡機能障害が認められ,神経機能検査結果にも異常がみられた。
(シ)原告Bを診察したH医師は,上記問診結果及び各検査結果を踏まえ,原告Bの病名を「シックハウス症候群」としたうえ,「発症後徐々に症状は改善してきているが,なお眼球追従運動,平衡機能には障害が検出されている。また,シックハウス症候群から化学物質過敏症に移行してきており,微量な空気汚染物質に鋭敏に反応して症状が出現する状態が続いている。」と診断した。
(ス)その後,原告Bは,平成18年6月2日,北里研究所病院を再度受診したところ,H医師は,「化学物質過敏症」と診断し,「中枢神経機能検査でなお症状の改善は認められず,極めて微量な化学物質に鋭敏に反応して症状の悪化を示す傾向が続いている。」との所見を示し,また,平成21年2月4日の再診の際には,同じく病名を「化学物質過敏症」としたうえ,「神経系の機能検査で異常が出現しており,米国及び本邦の診断の基準と照らし合せて上記診断をする。問診より,シックハウス症候群より移行してきたものと思われ,日常生活にも非常に難渋している。」と診断し,症状及び検査所見について「平成17年5月の増築から発症。めまい,両足の冷え,こわばり,息苦しさ,不眠などの多彩な症状とともに,微量な種々の空気汚染化学物質に鋭敏に反応して,症状の悪化をきたすようになる。当科受診時の検査では,眼球追従運動障害,平衡機能障害が検出されている。なお,一般的な血液検査や尿検査では特に異常は検出されていない。」とした。
(セ)そして,H医師による原告Bの上記症状及び検査所見に関する意見は,概ね次のとおりである。
「原告Bの多彩な症状は決して精神的なものではなく,神経を中心とした機能障害が起こっている身体的な病気である。問診から,増築工事から発症しており,その際のクレオソートからの揮発性物質が関与している可能性がある。これまでにも,クレオソートの屋内使用で化学物質過敏症を発症した患者の診察経験がある。クレオソートは発がん性物質の除去はされているがその他の揮発性物質についてはそのままと思われる。原告Bの症状は,1999年に米国で提唱された化学物質過敏症診断の合意事項,いわゆる「コンセンサス1999」の6項目の診断基準にも合致している。」
(ソ)原告Bの現在の症状は,臭いと電磁波に敏感であり,マスクをしてシールド材の帽子をかぶらないと外出できない状態であること,常に揺れる地面を歩いているような感覚があること,度々めまいと吐き気に襲われ,後頭部に強い圧迫を感じて破裂しそうな感覚に襲われること,集中力がなく,不眠が続き,うつ状態になることが頻繁にあること,内出血になりやすいことが挙げられる。また,原告Bは,上記の症状から日常生活にも支障をきたしており,ショッピングセンターやデパートへ買い物に行っても,衣類や商品,壁などから放散される化学物質によって呼吸困難に陥るため,長時間建物内にいることができず,歩行中もペンキの臭いがあると具合が悪くなるほか,自宅の中でも,電磁波の出る電化製品(パソコン,テレビ,電子レンジ,電磁調理器,ホットカーペット,携帯電話)を使用することができず,電源を切ることができない冷蔵庫については,主要な生活空間であるリビングから最も離れた玄関に設置している状態である(なお,電磁波は化学物質の毒性を増加する作用があるといわれている。)。マンションのリノベーション工事の見積りの比較のサイトも紹介します。
2011年6月30日木曜日
2011年6月26日日曜日
マンションのリフォーム
イ 原告Bの症状について(甲10,14ないし17,36,76,77,79,82,85,乙16,17,20,原告A,原告B)
(ア)被告は,平成17年4月28日,本件工事を開始し,同年5月6日,下請大工がクレオソート油Rを増築部分の土台に塗布したところ,原告Bは,本件工事現場付近から強烈な異臭を感じるようになった。
(イ)原告Bは,翌7日,異臭が消えないため,庭を確認したところ,母屋のリビング下の通風孔に,クレオソート油Rの入った缶が蓋の開いた状態で置かれているのを発見したため,缶の蓋を閉め,はけを上に置いたうえ,スーパーのビニール袋に入れて縛り,母屋から離れた場所に移動させた。原告Bは,このころから,鼻水が止まらなくなり,肌にピリピリとした痛みを感じるようになった。
(ウ)また,同月11日,下請大工の子方が再度クレオソート油Rを塗布した際,原告Bは,強い異臭を感じた。
(エ)以後,クレオソート油Rの使用は中止され,別の防蟻剤を取寄せることになったが,本件工事は予定通り続けられた。
(オ)原告Bは,同月6日以降,鼻水,頭痛,吐き気,めまい,喉の腫れ及び下痢を発症した。
(カ)原告らは,同月29日,原告A宅を出て上尾市内の旅館に移り住んだが、その後,原告Bは,同年6月6日,松沢医院を初めて受診し,37.2℃の微熱と喉の痛み,咳,下痢の症状を訴え,旅館の部屋にパラゾールがあって皮膚がピリピリすることを伝えた。そして,原告Bは,同月13日と同月18日に同医院を再受診したところ,いずれも微熱と喉の痛みの症状がみられ,「アレルギー性気管支炎及び咽喉頭炎」と診断された。なお,その原因について,松沢医院の医師は,原告Bからの申告を受け,「クレオソート用ガス吸入による疑い」と診断した。
(キ)原告Bは,同月29日,松沢医院を再度受診した際,喉の痛みが続いていることを訴えたほか,下半身のだるさを訴えるようになった。原告Bは,同年8月22日,松沢医院の医師から,北里研究所病院臨床環境医学センターのH医師の紹介を受けた。
(ク)北里研究所病院は,シックハウス症候群及び化学物質過敏症の研究に先進的に取り組む日本有数の医療機関であり,同センター内は,化学物質が極端に少なくなるようコンピューターでコントロールされており,壁,床,椅子,衣服なども化学物質の発生が極力少ないものが使用されている。
また,H医師は,昭和35年3月に名古屋市立大学医学部を卒業し,同大学医学部の助手及び講師を勤めた後,北里大学医学部に移り,昭和63年4月からは同大学医学部眼科学の教授として,眼(網膜)の中毒学を中心に研究していたが,急性中毒から,微量な物質により引き起こされる慢性毒性,さらに微量な化学物質により起きる免疫毒性の研究を経て,化学物質過敏症の研究を開始し,平成4年4月には,日本臨床環境医学会を設立し,同学会事務局長を務めた。また,化学物質過敏症に関する著書も多数あり,H医師は,国内では化学物質過敏症の分野における第一人者である。
(ケ)原告Bは,平成17年8月26日,北里研究所病院を初めて受診した。この時,原告Bは,問診・質問票への記入をした後,採血,採尿,心電図,視力,眼圧の検査に加え,眼球運動検査(目だけでスムーズに物を追うことができるか調べる検査),MTF(白と黒の縞のコントラスト感度を調べる検査),瞳孔検査(光を目に入れたときの瞳の動きを調べる検査)を受け,H医師の診察を受けた。なお,眼科的検査が行われているのは,化学物質過敏症患者の中には,自律神経機能の障害により,目に異常を伴う場合が知られているためである。
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(ア)被告は,平成17年4月28日,本件工事を開始し,同年5月6日,下請大工がクレオソート油Rを増築部分の土台に塗布したところ,原告Bは,本件工事現場付近から強烈な異臭を感じるようになった。
(イ)原告Bは,翌7日,異臭が消えないため,庭を確認したところ,母屋のリビング下の通風孔に,クレオソート油Rの入った缶が蓋の開いた状態で置かれているのを発見したため,缶の蓋を閉め,はけを上に置いたうえ,スーパーのビニール袋に入れて縛り,母屋から離れた場所に移動させた。原告Bは,このころから,鼻水が止まらなくなり,肌にピリピリとした痛みを感じるようになった。
(ウ)また,同月11日,下請大工の子方が再度クレオソート油Rを塗布した際,原告Bは,強い異臭を感じた。
(エ)以後,クレオソート油Rの使用は中止され,別の防蟻剤を取寄せることになったが,本件工事は予定通り続けられた。
(オ)原告Bは,同月6日以降,鼻水,頭痛,吐き気,めまい,喉の腫れ及び下痢を発症した。
(カ)原告らは,同月29日,原告A宅を出て上尾市内の旅館に移り住んだが、その後,原告Bは,同年6月6日,松沢医院を初めて受診し,37.2℃の微熱と喉の痛み,咳,下痢の症状を訴え,旅館の部屋にパラゾールがあって皮膚がピリピリすることを伝えた。そして,原告Bは,同月13日と同月18日に同医院を再受診したところ,いずれも微熱と喉の痛みの症状がみられ,「アレルギー性気管支炎及び咽喉頭炎」と診断された。なお,その原因について,松沢医院の医師は,原告Bからの申告を受け,「クレオソート用ガス吸入による疑い」と診断した。
(キ)原告Bは,同月29日,松沢医院を再度受診した際,喉の痛みが続いていることを訴えたほか,下半身のだるさを訴えるようになった。原告Bは,同年8月22日,松沢医院の医師から,北里研究所病院臨床環境医学センターのH医師の紹介を受けた。
(ク)北里研究所病院は,シックハウス症候群及び化学物質過敏症の研究に先進的に取り組む日本有数の医療機関であり,同センター内は,化学物質が極端に少なくなるようコンピューターでコントロールされており,壁,床,椅子,衣服なども化学物質の発生が極力少ないものが使用されている。
また,H医師は,昭和35年3月に名古屋市立大学医学部を卒業し,同大学医学部の助手及び講師を勤めた後,北里大学医学部に移り,昭和63年4月からは同大学医学部眼科学の教授として,眼(網膜)の中毒学を中心に研究していたが,急性中毒から,微量な物質により引き起こされる慢性毒性,さらに微量な化学物質により起きる免疫毒性の研究を経て,化学物質過敏症の研究を開始し,平成4年4月には,日本臨床環境医学会を設立し,同学会事務局長を務めた。また,化学物質過敏症に関する著書も多数あり,H医師は,国内では化学物質過敏症の分野における第一人者である。
(ケ)原告Bは,平成17年8月26日,北里研究所病院を初めて受診した。この時,原告Bは,問診・質問票への記入をした後,採血,採尿,心電図,視力,眼圧の検査に加え,眼球運動検査(目だけでスムーズに物を追うことができるか調べる検査),MTF(白と黒の縞のコントラスト感度を調べる検査),瞳孔検査(光を目に入れたときの瞳の動きを調べる検査)を受け,H医師の診察を受けた。なお,眼科的検査が行われているのは,化学物質過敏症患者の中には,自律神経機能の障害により,目に異常を伴う場合が知られているためである。
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2011年6月21日火曜日
リノベーション(マンション)
第3 争点に対する判断
1 争点(1)(化学物質過敏症罹患の有無)について
(1)上記争いのない事実等に加え,下記各項目に掲記する証拠及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。
ア 化学物質過敏症について(甲19,25,75,乙1,7)
(ア)化学物質過敏症については,様々な概念が提唱されているものの,厚生労働省が平成16年2月27日に室内空気質健康影響研究会における調査研究に基づき公表したところによれば,化学物質過敏症とは,微量化学物質に反応し,非アレルギー性の過敏状態の発現により,精神・身体症状を示すとされるものをいう。
(イ)日本において化学物質過敏症と呼ばれる病態は,国際的にはMCS(Multiple Chemical Sensitivity,多種類化学物質過敏症)との名称で呼ばれ,その存在をめぐり,学会において様々な見解が示されているところ,平成11年には,米国の研究者34名の署名入り合意文書として「コンセンサス1999」と題する見解が公表され,MCSは,〔1〕再現性を持って現れる症状を有する,〔2〕慢性疾患である,〔3〕微量な物質への暴露に反応を示す,〔4〕原因物質の除去で改善又は治癒する,〔5〕関連性のない多種類の化学物質に反応を示す,〔6〕症状が多くの器官・臓器にわたっている,と定義された。
(ウ)化学物質過敏症として報告されている症候は多彩であり,粘膜刺激症状(結膜炎,鼻炎,咽頭炎),皮膚炎,気管支炎,喘息,循環器症状(動悸,不整脈),消化器症状(胃腸症状),自律神経障害(異常発汗),精神症状(不眠,不安,うつ状態,記憶困難,集中困難,価値観や認識の変化),中枢神経障害(痙攣),頭痛,発熱,疲労感等が同時にもしくは交互に出現するとされている。
(エ)化学物質過敏症については,その病態や発症機序について,未解明な部分が多く,「化学物質過敏症」と診断された症例の中には,中毒やアレルギーといった既存の疾病概念で把握可能な患者が含まれていることがある。また,化学物質の関与が明確ではないにも関わらず,臨床症状と検査所見の組み合わせのみから「化学物質過敏症」と診断される傾向がある。
(オ)もっとも,北里研究所病院臨床環境医学センターのG医師の調査結果によると,化学物質過敏症の発症原因の半分以上が室内空気汚染(シックハウス)であり,続いて農薬・殺虫剤,有機溶剤が発症原因として挙げられている。
(カ)シックハウス症候群とは,厚生労働省が平成16年2月27日に室内空気質健康影響研究会における調査研究に基づき公表したところによると,医学的に確立した単一の疾病ではなく,居住者の健康を維持するという観点から問題のある住宅においてみられる健康障害の総称をいう。
(キ)シックハウス症候群の症状として訴えの多いものは,皮膚や眼,咽頭,気道などの皮膚・粘膜刺激症状,全身倦怠感,めまい,頭痛・頭重などの不定愁訴である。
(ク)シックハウス症候群の発症原因については,全てが解明されるに至っていないものの,主な発症関連因子として,建材や内装材などから放散されるホルムアルデヒドやトルエンをはじめとする揮発性有機化合物が指摘されている。なお,このような指摘を受けて,国土交通省は,建築基準法関連法令の改正により,ホルムアルデヒドを建材に使用することを規制するとともに,防蟻剤として使用されてきたクロルピリホスの使用も禁止し,厚生労働省は,平成14年2月8日,シックハウス(室内空気汚染)問題に関する検討会において,ホルムアルデヒド,トルエン,キシレン,パラジクロロベンゼン,エチルベンゼン,スチレン,クロルピリホス,フタル酸ジ-n-ブチル,テトラデカン,フタル酸ジ-2-エチルヘキシル,ダイアジノン,アセトアルデヒド及びフェノブカルブの計13種類の化学物質について室内濃度指針値を策定した。ただし,同指針値は,必ずしもシックハウス症候群を直ちに引き起こす閾値ではない。
(ケ)もっとも,上記(キ)の症状のうち皮膚・粘膜刺激症状は,アレルギー疾患や感染症などによっても生じ,温度,湿度及び気流等の温熱環境因子が増悪因子となり得るし,全身倦怠,めまい,頭痛・頭重などの不定愁訴についても,各種疾患により生じるほか,温熱環境因子,生物因子(感染症),照度,騒音及び振動等の様々な物理的環境因子,精神的ストレスなどが発症・増悪に関連する。
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1 争点(1)(化学物質過敏症罹患の有無)について
(1)上記争いのない事実等に加え,下記各項目に掲記する証拠及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。
ア 化学物質過敏症について(甲19,25,75,乙1,7)
(ア)化学物質過敏症については,様々な概念が提唱されているものの,厚生労働省が平成16年2月27日に室内空気質健康影響研究会における調査研究に基づき公表したところによれば,化学物質過敏症とは,微量化学物質に反応し,非アレルギー性の過敏状態の発現により,精神・身体症状を示すとされるものをいう。
(イ)日本において化学物質過敏症と呼ばれる病態は,国際的にはMCS(Multiple Chemical Sensitivity,多種類化学物質過敏症)との名称で呼ばれ,その存在をめぐり,学会において様々な見解が示されているところ,平成11年には,米国の研究者34名の署名入り合意文書として「コンセンサス1999」と題する見解が公表され,MCSは,〔1〕再現性を持って現れる症状を有する,〔2〕慢性疾患である,〔3〕微量な物質への暴露に反応を示す,〔4〕原因物質の除去で改善又は治癒する,〔5〕関連性のない多種類の化学物質に反応を示す,〔6〕症状が多くの器官・臓器にわたっている,と定義された。
(ウ)化学物質過敏症として報告されている症候は多彩であり,粘膜刺激症状(結膜炎,鼻炎,咽頭炎),皮膚炎,気管支炎,喘息,循環器症状(動悸,不整脈),消化器症状(胃腸症状),自律神経障害(異常発汗),精神症状(不眠,不安,うつ状態,記憶困難,集中困難,価値観や認識の変化),中枢神経障害(痙攣),頭痛,発熱,疲労感等が同時にもしくは交互に出現するとされている。
(エ)化学物質過敏症については,その病態や発症機序について,未解明な部分が多く,「化学物質過敏症」と診断された症例の中には,中毒やアレルギーといった既存の疾病概念で把握可能な患者が含まれていることがある。また,化学物質の関与が明確ではないにも関わらず,臨床症状と検査所見の組み合わせのみから「化学物質過敏症」と診断される傾向がある。
(オ)もっとも,北里研究所病院臨床環境医学センターのG医師の調査結果によると,化学物質過敏症の発症原因の半分以上が室内空気汚染(シックハウス)であり,続いて農薬・殺虫剤,有機溶剤が発症原因として挙げられている。
(カ)シックハウス症候群とは,厚生労働省が平成16年2月27日に室内空気質健康影響研究会における調査研究に基づき公表したところによると,医学的に確立した単一の疾病ではなく,居住者の健康を維持するという観点から問題のある住宅においてみられる健康障害の総称をいう。
(キ)シックハウス症候群の症状として訴えの多いものは,皮膚や眼,咽頭,気道などの皮膚・粘膜刺激症状,全身倦怠感,めまい,頭痛・頭重などの不定愁訴である。
(ク)シックハウス症候群の発症原因については,全てが解明されるに至っていないものの,主な発症関連因子として,建材や内装材などから放散されるホルムアルデヒドやトルエンをはじめとする揮発性有機化合物が指摘されている。なお,このような指摘を受けて,国土交通省は,建築基準法関連法令の改正により,ホルムアルデヒドを建材に使用することを規制するとともに,防蟻剤として使用されてきたクロルピリホスの使用も禁止し,厚生労働省は,平成14年2月8日,シックハウス(室内空気汚染)問題に関する検討会において,ホルムアルデヒド,トルエン,キシレン,パラジクロロベンゼン,エチルベンゼン,スチレン,クロルピリホス,フタル酸ジ-n-ブチル,テトラデカン,フタル酸ジ-2-エチルヘキシル,ダイアジノン,アセトアルデヒド及びフェノブカルブの計13種類の化学物質について室内濃度指針値を策定した。ただし,同指針値は,必ずしもシックハウス症候群を直ちに引き起こす閾値ではない。
(ケ)もっとも,上記(キ)の症状のうち皮膚・粘膜刺激症状は,アレルギー疾患や感染症などによっても生じ,温度,湿度及び気流等の温熱環境因子が増悪因子となり得るし,全身倦怠,めまい,頭痛・頭重などの不定愁訴についても,各種疾患により生じるほか,温熱環境因子,生物因子(感染症),照度,騒音及び振動等の様々な物理的環境因子,精神的ストレスなどが発症・増悪に関連する。
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2011年6月16日木曜日
リフォーム・マンション
ウ 原告Cに生じた損害
(ア)慰謝料 616万0000円
原告Cは,上記(2)及び(3)の原告らの主張のとおり,被告の不法行為によって化学物質過敏症に罹患したのであり,その症状は重く,学校にも通えないなど日常生活に与える影響も多大であって,その精神的,肉体的苦痛は甚大である。そして,化学物質過敏症は,現代の医学において治癒困難な病気であり,将来にわたり影響を及ぼすものであるから,後遺障害が認められるべきであるところ,原告Cの症状は,後遺障害等級9級10号の「神経系統の機能又は精神に障害を残し,服することができる労務が相当な程度に制限されるもの」,すなわち「一般的労働能力は残存しているが,神経系統の機能又は精神障害のため,社会通念上,その就労可能な職種の範囲が相当な程度に制限されるもの」に該当するから,これを慰謝するためには616万円が必要である。
(イ)後遺症逸失利益 1367万2238円
平成16年賃金センサスの産業計・企業規模計・学歴計・女性労働者の全年齢平均の賃金額年350万2200円,労働能力喪失率35%を基礎として,18歳から就労可能年齢である67歳までの中間利息を控除した逸失利益を算出すると,1367万2238円となる。
(計算式)
350万2200円×0.35×(18.8757-7.7217)=1367万2238円
(ウ)弁護士費用 190万0000円
原告Cは,被告が任意に賠償金を支払わないため,原告ら訴訟代理人弁護士に本件訴訟追行を委任せざるを得なかったのであり,弁護士費用として190万円を損害とみるのが相当である。
(エ)合計 2173万2238円
エ 原告Dに生じた損害
(ア)慰謝料 616万0000円
原告Dは,上記(2)及び(3)の原告らの主張のとおり,被告の不法行為によって化学物質過敏症に罹患したのであり,現在の症状は重く,幼稚園にも通えないなど日常生活に与える影響も多大であって,その精神的,肉体的苦痛は甚大である。そして,化学物質過敏症は,現代の医学において治癒困難な病気であり,将来にわたり影響を及ぼすものであるから,後遺障害が認められるべきであるところ,原告Dの症状は,後遺障害等級9級10号の「神経系統の機能又は精神に障害を残し,服することができる労務が相当な程度に制限されるもの」,すなわち「一般的労働能力は残存しているが,神経系統の機能又は精神障害のため,社会通念上,その就労可能な職種の範囲が相当な程度に制限されるもの」に該当するから,これを慰謝するためには616万円が必要である。
(イ)後遺症逸失利益 1743万0112円
平成16年賃金センサスの産業計・企業規模計・学歴計・男子労働者の全年齢平均の賃金額年542万7000円,労働能力喪失率35%を基礎として,18歳から就労可能年齢である67歳までの中間利息を控除した逸失利益を算出すると,1743万0112円となる。
(計算式)
542万7000円×0.35×(19.0750-9.8986)=1743万0112円
(ウ)弁護士費用 230万0000円
原告Dは,被告が任意に賠償金を支払わないため,原告ら訴訟代理人弁護士に本件訴訟追行を委任せざるを得なかったのであり,弁護士費用として230万円を損害とみるのが相当である。
(エ)合計 2589万0112円
(被告の主張)
ア 原告Aに生じた損害について
(ア)補修費用について
被告がクレオソート油Rを使用したことは認めるが,その余は不知。被告がクレオソート油Rを使用したことによって,原告A宅の土壌に化学物質が混入したとか,母屋の土壌や構造駆体,家具などに化学物質が吸引されたなどという証拠はない。
(イ)仮住まい費用について
原告らが平成17年5月29日から旅館等で仮住まいを始めたこと,当初被告がその費用を負担していたことは認めるが,その余は不知。なお,被告が支払をしなくなったのは平成18年1月以降である。
(ウ)引越費用,特別対策費等諸雑費,医療費,通院交通費等について
いずれも不知。
イ 原告Bに生じた損害について
不知。
ウ 原告Cに生じた損害について
不知。
エ 原告Dに生じた損害について
不知。
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(ア)慰謝料 616万0000円
原告Cは,上記(2)及び(3)の原告らの主張のとおり,被告の不法行為によって化学物質過敏症に罹患したのであり,その症状は重く,学校にも通えないなど日常生活に与える影響も多大であって,その精神的,肉体的苦痛は甚大である。そして,化学物質過敏症は,現代の医学において治癒困難な病気であり,将来にわたり影響を及ぼすものであるから,後遺障害が認められるべきであるところ,原告Cの症状は,後遺障害等級9級10号の「神経系統の機能又は精神に障害を残し,服することができる労務が相当な程度に制限されるもの」,すなわち「一般的労働能力は残存しているが,神経系統の機能又は精神障害のため,社会通念上,その就労可能な職種の範囲が相当な程度に制限されるもの」に該当するから,これを慰謝するためには616万円が必要である。
(イ)後遺症逸失利益 1367万2238円
平成16年賃金センサスの産業計・企業規模計・学歴計・女性労働者の全年齢平均の賃金額年350万2200円,労働能力喪失率35%を基礎として,18歳から就労可能年齢である67歳までの中間利息を控除した逸失利益を算出すると,1367万2238円となる。
(計算式)
350万2200円×0.35×(18.8757-7.7217)=1367万2238円
(ウ)弁護士費用 190万0000円
原告Cは,被告が任意に賠償金を支払わないため,原告ら訴訟代理人弁護士に本件訴訟追行を委任せざるを得なかったのであり,弁護士費用として190万円を損害とみるのが相当である。
(エ)合計 2173万2238円
エ 原告Dに生じた損害
(ア)慰謝料 616万0000円
原告Dは,上記(2)及び(3)の原告らの主張のとおり,被告の不法行為によって化学物質過敏症に罹患したのであり,現在の症状は重く,幼稚園にも通えないなど日常生活に与える影響も多大であって,その精神的,肉体的苦痛は甚大である。そして,化学物質過敏症は,現代の医学において治癒困難な病気であり,将来にわたり影響を及ぼすものであるから,後遺障害が認められるべきであるところ,原告Dの症状は,後遺障害等級9級10号の「神経系統の機能又は精神に障害を残し,服することができる労務が相当な程度に制限されるもの」,すなわち「一般的労働能力は残存しているが,神経系統の機能又は精神障害のため,社会通念上,その就労可能な職種の範囲が相当な程度に制限されるもの」に該当するから,これを慰謝するためには616万円が必要である。
(イ)後遺症逸失利益 1743万0112円
平成16年賃金センサスの産業計・企業規模計・学歴計・男子労働者の全年齢平均の賃金額年542万7000円,労働能力喪失率35%を基礎として,18歳から就労可能年齢である67歳までの中間利息を控除した逸失利益を算出すると,1743万0112円となる。
(計算式)
542万7000円×0.35×(19.0750-9.8986)=1743万0112円
(ウ)弁護士費用 230万0000円
原告Dは,被告が任意に賠償金を支払わないため,原告ら訴訟代理人弁護士に本件訴訟追行を委任せざるを得なかったのであり,弁護士費用として230万円を損害とみるのが相当である。
(エ)合計 2589万0112円
(被告の主張)
ア 原告Aに生じた損害について
(ア)補修費用について
被告がクレオソート油Rを使用したことは認めるが,その余は不知。被告がクレオソート油Rを使用したことによって,原告A宅の土壌に化学物質が混入したとか,母屋の土壌や構造駆体,家具などに化学物質が吸引されたなどという証拠はない。
(イ)仮住まい費用について
原告らが平成17年5月29日から旅館等で仮住まいを始めたこと,当初被告がその費用を負担していたことは認めるが,その余は不知。なお,被告が支払をしなくなったのは平成18年1月以降である。
(ウ)引越費用,特別対策費等諸雑費,医療費,通院交通費等について
いずれも不知。
イ 原告Bに生じた損害について
不知。
ウ 原告Cに生じた損害について
不知。
エ 原告Dに生じた損害について
不知。
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2011年6月6日月曜日
マンションのリノベーション見積り
(4)原告らに生じた損害
(原告らの主張)
ア 原告Aに生じた損害
(ア)自宅補修費用 280万2242円
被告がクレオソート油Rを使用して長期間放置したことにより,自宅の土壌に化学物質が混入したほか,母屋の土壌や構造駆体,家具などにも化学物質が吸引されたため,これを取り除くためのリフォーム工事をせざるを得なくなった。そして,原告Aは,リフォーム工事の施工費用として合計280万2242円を負担した(甲55の1ないし18)。
(イ)仮住まい費用 60万4088円
原告らは,クレオソート油Rに汚染された母屋で生活することができなかったため,平成17年5月29日から旅館等で仮住まいを余儀なくされた。当初被告がその費用を負担していたが,その後,支払がなくなり,原告Aは合計61万1012円を負担した(甲56の1ないし7)。
(ウ)引越費用 8000円
原告Aは,引越費用として8000円を負担した(甲57)。
(エ)特別対策費等諸雑費 6万3185円
原告Aは,原告Cのために,眼鏡,電気ストーブ,ワックスを購入し,その費用として合計6万3185円を負担した(甲58の1ないし3)。
(オ)医療費 9万3792円
原告Aは,原告らの医療費として合計9万3792円を負担した(甲59の1ないし29)。
(カ)通院交通費等 6100円
原告Aは,通院交通費及び駐車場代として合計6100円を負担した(甲60)。
(キ)合計 357万7407円
イ 原告Bに生じた損害
(ア)慰謝料 616万0000円
原告Bは,上記(2)及び(3)の原告らの主張のとおり,被告の不法行為によって化学物質過敏症に罹患したのであり,現在の症状は重く,日常生活に与える影響も多大であって,その精神的,肉体的苦痛は甚大である。そして,原告Bは,中枢神経機能検査でなお症状の改善が認められず,極めて微量な化学物質に鋭敏に反応して症状の悪化を示す傾向が続いており,これは,後遺障害等級9級10号に該当するから,これを慰謝するためには616万円が必要である。
(イ)後遺症逸失利益 1762万0566円
平成16年賃金センサスの産業計・企業規模計・学歴計・女性労働者の全年齢平均の賃金額年350万2200円,労働能力喪失率35%を基礎として,平成18年6月2日の診断時から就労可能年齢である67歳までの中間利息を控除した逸失利益を算出すると,1762万0566円となる。
(計算式)
350万2200円×0.35×14.3751=1762万0566円
(ウ)弁護士費用 230万0000円
原告Bは,被告が任意に賠償金を支払わないため,原告ら訴訟代理人弁護士に本件訴訟追行を委任せざるを得なかったのであり,弁護士費用として230万円を損害とみるのが相当である。
(エ)合計 2608万0566円
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(原告らの主張)
ア 原告Aに生じた損害
(ア)自宅補修費用 280万2242円
被告がクレオソート油Rを使用して長期間放置したことにより,自宅の土壌に化学物質が混入したほか,母屋の土壌や構造駆体,家具などにも化学物質が吸引されたため,これを取り除くためのリフォーム工事をせざるを得なくなった。そして,原告Aは,リフォーム工事の施工費用として合計280万2242円を負担した(甲55の1ないし18)。
(イ)仮住まい費用 60万4088円
原告らは,クレオソート油Rに汚染された母屋で生活することができなかったため,平成17年5月29日から旅館等で仮住まいを余儀なくされた。当初被告がその費用を負担していたが,その後,支払がなくなり,原告Aは合計61万1012円を負担した(甲56の1ないし7)。
(ウ)引越費用 8000円
原告Aは,引越費用として8000円を負担した(甲57)。
(エ)特別対策費等諸雑費 6万3185円
原告Aは,原告Cのために,眼鏡,電気ストーブ,ワックスを購入し,その費用として合計6万3185円を負担した(甲58の1ないし3)。
(オ)医療費 9万3792円
原告Aは,原告らの医療費として合計9万3792円を負担した(甲59の1ないし29)。
(カ)通院交通費等 6100円
原告Aは,通院交通費及び駐車場代として合計6100円を負担した(甲60)。
(キ)合計 357万7407円
イ 原告Bに生じた損害
(ア)慰謝料 616万0000円
原告Bは,上記(2)及び(3)の原告らの主張のとおり,被告の不法行為によって化学物質過敏症に罹患したのであり,現在の症状は重く,日常生活に与える影響も多大であって,その精神的,肉体的苦痛は甚大である。そして,原告Bは,中枢神経機能検査でなお症状の改善が認められず,極めて微量な化学物質に鋭敏に反応して症状の悪化を示す傾向が続いており,これは,後遺障害等級9級10号に該当するから,これを慰謝するためには616万円が必要である。
(イ)後遺症逸失利益 1762万0566円
平成16年賃金センサスの産業計・企業規模計・学歴計・女性労働者の全年齢平均の賃金額年350万2200円,労働能力喪失率35%を基礎として,平成18年6月2日の診断時から就労可能年齢である67歳までの中間利息を控除した逸失利益を算出すると,1762万0566円となる。
(計算式)
350万2200円×0.35×14.3751=1762万0566円
(ウ)弁護士費用 230万0000円
原告Bは,被告が任意に賠償金を支払わないため,原告ら訴訟代理人弁護士に本件訴訟追行を委任せざるを得なかったのであり,弁護士費用として230万円を損害とみるのが相当である。
(エ)合計 2608万0566円
マンションのリノベーション工事の見積りの比較のサイトも紹介します。
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