(イ)また,上記認定事実によれば,原告Cは,同月27日にまぶしい,目が見えないといった症状を訴えたことが認められるが,上記(1)イに認定のとおり,これは,クレオソート油Rが塗布されてから20日ないし16日も後のことであったこと,しかも,クレオソート油Rは,2回とも,母屋とは離れた屋外ないし外気が通る場所で塗布されたこと,同月11日以降,クレオソート油Rの使用が中止され,渡り廊下が設置された後も,クレオソート油Rの塗布された増築部分が母屋と密閉された形で接合されたこともなかったことに照らせば,原告Cの上記症状について,被告によるクレオソート油Rによって引き起こされたと認めることは困難といわざるを得ない。
(ウ)したがって,被告によるクレオソート油R使用が原告Cの化学物質過敏症罹患の原因とは認められず,両者の間に因果関係を認めることはできない。
3 争点(3)(被告の債務不履行責任ないし不法行為責任の有無)について
(1)上記1及び2に説示したとおり、原告Bについては,化学物質過敏症に罹患したこと,その原因が被告によるクレオソート油Rの使用にあったことが認められるところ,原告らが,被告らに債務不履行ないし不法行為責任を帰責するためには,被告において,本件工事にクレオソート油Rを使用することにより,原告Bが化学物質過敏症に罹患するという結果の発生について具体的に予見できたことを要すると解されるので,以下,予見可能性の有無について検討する。
(2)上記争いのない事実等に加え,証拠(甲2ないし5,48,50,51,61,62,乙20,21,証人E,証人N)及び弁論の全趣旨によれば,被告は,シックハウスをなくすため,添加物を含んだ建材は一切使わない「無添加リフォーム」を提唱していること,被告は,財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター,NPOエコリフォーム推進協議会及びNPOシックハウスを考える会に加盟しており,建材等から発散される揮発性有機化合物による室内空気汚染がシックハウス症候群の原因であることや,その症状として,眼のチカチカ,喉の痛み,頭痛,吐き気,アレルギー反応,自律神経失調症といったものがあるなど,シックハウス症候群について基本的な知識を有していること,被告従業員のEは,NPOエコリフォーム推進協議会のエコリフォームマスター認定資格者であり,化学物質過敏症や有害な建材,化学物質について一通りの勉強をしていたこと,また,被告の下請大工の親方は,エコリフォームマスター資格を有するとともに,専門の研修・教育を受けた認定パートナーサプライヤー(専門協力業者)であること,さらに,被告取締役のNは,シックハウスを考える会においてシックハウスアドバイザーとして登録されていることが認められ,被告は,シックハウス問題に積極的に取り組む業者として,化学物質過敏症の症状や原因物質について,一般的なリフォーム業者に比べ,高い関心と知識を有していたといえる。
しかしながら,上記1(1)アに認定のとおり,化学物質過敏症は,その病態や発症機序について未解明な部分が多く,そもそも化学物質過敏症というべき病態の存在自体が世界的に議論となっている状況に鑑みれば,被告が化学物質過敏症について有する知識といっても,その量及び程度は極限られたものというべきであるし,上記1(1)ア及び上記2(1)アに認定の事実によれば,化学物質過敏症ないし室内空気汚染(シックハウス)の発症関連因子として指摘されている揮発性有機化合物のうち,厚生労働省が室内濃度指針値を策定した13種類の化学物質は,クレオソート油Rには含まれておらず,しかも,被告が使用したのは,発がん性物質を多量に含んだ有害建材とされる従来型クレオソート油ではなく,これを改良して発がん性物質の含有量を大幅に削減した環境配慮型クレオソート油Rであったことが認められるから,これらの事情に照らせば,医学者でも化学者でもない被告において,クレオソート油Rを使用することにより,原告Bが化学物質過敏症に罹患することを具体的に予見することは不可能であったと認めるのが相当である。
(3)これに対し,原告は,従来型クレオソート油に比べ,クレオソート油Rが含有する有害物質が大幅に削減されているとしても,有害性が無くなったわけではなく,使用上の注意として「床下等を含む家屋内での使用は絶対にしないで下さい」と明記されているとおり,危険な薬剤であることに変わりはないから,被告には,クレオソート油R使用による化学物質過敏症罹患について予見可能性があったと主張する。
しかしながら,上記2(1)イに認定のとおり,被告は,クレオソート油Rを,屋内ではなく,いずれも母屋から離れた屋外ないし外気が通る場所で塗布したのであり,したがって,通常,クレオソート油Rから発生する化学物質は,直ちに大気中に拡散されると予想されるから,このような状況におけるクレオソート油Rの使用により,化学物質過敏症罹患を引き起こすとまで予見することは不可能であったというほかなく,原告の上記主張は採用できない。
(4)また,原告Aは,被告が床下処理に柿渋液を使用すると確約したと主張したうえ,被告はこの確約に違反してクレオソート油Rを使用したので,債務不履行責任を負うと主張する。
しかしながら,証拠(甲2)によれば,被告のパンフレットには,壁,床,天井等の内装仕上げに関する記載はあるものの,床下処理に関する記載はないことが認められる。また,原告A及び原告Bは,原告Aの上記主張事実に沿う供述をするが,証人Eの証言に照らし,たやすく採用することができない。したがって,原告Aの上記主張は理由がない。
(5)なお,仮に,原告Dについても化学物質過敏症に罹患していると認められ,かつ,被告によるクレオソート油Rの使用と原告C及び原告Dの化学物質過敏症の罹患との間に相当因果関係が存在するとしても,被告において,クレオソート油Rの使用により,原告C及び原告Dに化学物質過敏症を引き起こすとまで予見することが不可能であったことは,上記(2)及び(3)の説示から明らかである。
第4 結論
以上のとおり,原告らの請求はいずれも理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。マンションのリフォーム工事の見積りの比較のサイトも紹介します。
2011年7月6日水曜日
マンションのリフォーム・リノベーション
(イ)したがって,被告によるクレオソート油R使用と原告Bの化学物質過敏症罹患との間には因果関係が認められる。
(ウ)これに対し,被告は,原告Bの化学物質過敏症罹患は,母屋のリフォーム工事,近隣のP社上尾工場からの油の臭い,新車を購入したこと(シックカー)及びアレルギー疾患や精神的ストレスによって発症したものであると主張して,被告によるクレオソート油R使用との因果関係を否定する。
この点,証拠(乙17,18,原告A,原告B)によれば,原告らは,原告A宅に転居するまでの約4年間,新築のマンションで生活していたこと,平成14年に中古の原告A宅を購入し,大規模なリフォーム工事を行ったこと,平成15年に新車を購入し,以後,これを使用していたこと,原告A宅近くのP社の工場から,油のような臭いが漂っていたことが認められるが,原告Bが,クレオソート油Rが使用された平成17年5月6日時点を境に,上記のような症状を発症し始めた経緯に照らすと,被告が主張するような,同時点まで長期間にわたり特に体調に異変をもたらさなかった各事情について,これを原告Bの化学物質過敏症罹患の原因とすることは困難であるし,仮にクレオソート油Rに加えて上記各事情が影響していたとしても,そのことをもって,被告によるクレオソート油Rによって原告Bが化学物質過敏症に罹患したとの上記認定を覆すには足りないから,被告の主張を採用することはできない。
イ 原告Cについて
(ア)上記1(1)ウの認定事実によれば,原告Cは,被告がクレオソート油Rを使用した平成17年5月6日以降,鼻水,喉の腫れ,目のかすみ,原因不明による度々の発熱を訴え,同月11日には急激な視力の低下(右が0.2,左が0.15)がみられたことが認められる。
しかし,他方で,上記1(1)ウの認定事実によれば,原告Cは,平成12年2月ころから,度々微熱や高熱に悩まされていたこと,同年ころ,両眼の痛み又はかゆみを訴えてアレルギー性結膜炎と診断されたこと,他にもアレルギー性鼻炎やかにやえびなどの食物アレルギー,花粉,かび,ほこりなどに対するアレルギーを有していたことが認められるほか,原告Cは,先天的に両眼につき下斜筋過動症(斜視)を患っており,眼位が不安定であったことに加え,視力についても,平成14年11月8日時点で右が0.4,左が0.4と測定され,同月20日時点では右が0.8,左が0.7に上がるなど,もともと不安定な面があったほか,上記のとおり,平成17年5月6日に右0.2,左0.15と測定された視力は,同月29日には右が0.3,左が0.7に回復したうえ,同年6月8日には右が0.2,左が0.2に再び低下したことが認められ,これらの事情に照らせば,原告Cの上記各症状は,必ずしも同年5月6日以降に限って発症したものとはいえず,原告Cの化学物質過敏症の罹患が被告によるクレオソート油Rの使用により引き起こされた蓋然性が高いとまでは認められない。
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(ウ)これに対し,被告は,原告Bの化学物質過敏症罹患は,母屋のリフォーム工事,近隣のP社上尾工場からの油の臭い,新車を購入したこと(シックカー)及びアレルギー疾患や精神的ストレスによって発症したものであると主張して,被告によるクレオソート油R使用との因果関係を否定する。
この点,証拠(乙17,18,原告A,原告B)によれば,原告らは,原告A宅に転居するまでの約4年間,新築のマンションで生活していたこと,平成14年に中古の原告A宅を購入し,大規模なリフォーム工事を行ったこと,平成15年に新車を購入し,以後,これを使用していたこと,原告A宅近くのP社の工場から,油のような臭いが漂っていたことが認められるが,原告Bが,クレオソート油Rが使用された平成17年5月6日時点を境に,上記のような症状を発症し始めた経緯に照らすと,被告が主張するような,同時点まで長期間にわたり特に体調に異変をもたらさなかった各事情について,これを原告Bの化学物質過敏症罹患の原因とすることは困難であるし,仮にクレオソート油Rに加えて上記各事情が影響していたとしても,そのことをもって,被告によるクレオソート油Rによって原告Bが化学物質過敏症に罹患したとの上記認定を覆すには足りないから,被告の主張を採用することはできない。
イ 原告Cについて
(ア)上記1(1)ウの認定事実によれば,原告Cは,被告がクレオソート油Rを使用した平成17年5月6日以降,鼻水,喉の腫れ,目のかすみ,原因不明による度々の発熱を訴え,同月11日には急激な視力の低下(右が0.2,左が0.15)がみられたことが認められる。
しかし,他方で,上記1(1)ウの認定事実によれば,原告Cは,平成12年2月ころから,度々微熱や高熱に悩まされていたこと,同年ころ,両眼の痛み又はかゆみを訴えてアレルギー性結膜炎と診断されたこと,他にもアレルギー性鼻炎やかにやえびなどの食物アレルギー,花粉,かび,ほこりなどに対するアレルギーを有していたことが認められるほか,原告Cは,先天的に両眼につき下斜筋過動症(斜視)を患っており,眼位が不安定であったことに加え,視力についても,平成14年11月8日時点で右が0.4,左が0.4と測定され,同月20日時点では右が0.8,左が0.7に上がるなど,もともと不安定な面があったほか,上記のとおり,平成17年5月6日に右0.2,左0.15と測定された視力は,同月29日には右が0.3,左が0.7に回復したうえ,同年6月8日には右が0.2,左が0.2に再び低下したことが認められ,これらの事情に照らせば,原告Cの上記各症状は,必ずしも同年5月6日以降に限って発症したものとはいえず,原告Cの化学物質過敏症の罹患が被告によるクレオソート油Rの使用により引き起こされた蓋然性が高いとまでは認められない。
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2011年7月5日火曜日
マンションのリノベーション見積り
イ クレオソート油Rの使用状況及び本件工事の経緯について(甲36,38,乙20,証人E,原告A)
(ア)被告は,平成17年5月6日,増築部分の基礎部に土台を設置する際,土台の基礎部接面部分にクレオソート油Rを塗布したうえ,木工事を開始した。
(イ)その後も木工事が続けられ,同月9日には,増築部分の外枠が木材によって組まれつつある状態となり,翌10日には,増築部分の屋根工事が行われ,窓枠にはサッシが取り付けられた。
(ウ)被告は,翌11日,増築部分の土台にクレオソート油Rを再度塗布した。なお,被告は,同日,原告Bから増築部分の屋根形状が違うとの指摘を受け,前日に施工された屋根を解体した。
(エ)その後,クレオソート油Rの使用は中止され,別の防蟻剤を用意することになったが,クレオソート油Rが2回にわたって塗布された土台部分について,被告がクレオソート油Rを除去するための措置をとるようなことはなかった。
(オ)本件工事は,同月12日以降も予定通り進められ,同日には木工事屋根の作りかえ,同月13日には破風板直し及び大引き敷き込み工事,同月14日には増築部分床根太組及び下地ビルダーパネル貼りが行われた。
(カ)そして,同月16日には,母屋との接続工事が開始され,母屋の接続部分の解体と養生が行われ,翌17日には,母屋と増築部分をつなぐ渡り廊下の造作工事が開始された。
(キ)その後,被告は,同月23日ころから,渡り廊下の造作工事を終えて再び増築部分の床フロア貼りサッシ枠取付け工事を行っていたが,同月27日の夜,原告Aから,原告Cと原告Dの体調が悪いこと,その原因がクレオソート油Rを使用したことにあるのではないかとの連絡を受け,話合いの結果,翌28日をもって本件工事は中止されるに至った。
(ク)原告らは,同月29日,クレオソート油Rによる空気汚染から避難するため,上尾市内の旅館に移り住み,それから約1年間は,旅館や借家を転々としながら生活した。
(2)上記認定事実のほか,上記1(1)の化学物質過敏症の発症原因物質に関する認定事実並びに原告B及び原告Cの症状に関する認定事実に基づき,被告によるクレオソート油Rの使用と原告B及び原告Cの化学物質過敏症の罹患との間に因果関係が存在するか否かについて,以下,検討する。
ア 原告Bについて
(ア)上記1(1)アに認定の事実によれば,化学物質過敏症の発症機序については未解明な部分が多いものの,その発症原因の多くは室内空気汚染(シックハウス)とされていること,その原因物質として建材や内装材などから放散されるホルムアルデヒドやトルエンをはじめとする揮発性有機化合物が指摘され,厚生労働省も13種類の化学物質について室内濃度指針値を策定したことが認められるところ,上記1(1)アの認定事実によれば,クレオソート油Rには,13種類の化学物質は含まれていないものの,ビフェニル,ナフタレンといった揮発性有機化合物が含まれていることが認められるほか,このような揮発性有機化合物の含有量については従来型クレオソートも変わらないことが窺われ,従来型クレオソートによって化学物質過敏症を発症した例が過去にあること(甲44,85)が認められる。そして,上記1(1)イで原告Bの症状について認定したとおり,被告は,平成17年5月6日にクレオソート油Rを増築部分の土台に塗布したところ,原告Bは,クレオソート油Rの強烈な刺激臭に耐えられず,翌7日にクレオソート油Rが入った缶の蓋を閉めて,これをビニール袋に入れて縛ったのであり,その際,クレオソート油Rの臭いを近接して吸引したことが認められるほか,原告Bは,同日以降,それまで全く症状のなかった鼻水が止まらなくなり,他にも肌のピリピリ感や頭痛,吐き気,めまい,喉の腫れ及び下痢を発症したこと,原告Bには,それまで何らアレルギー性疾患や感染症への罹患はなかったこと,上記各種症状を発症した時期において,何か他の原因物質と思われるものに暴露した事実がないことに照らすと,被告がクレオソート油Rを使用したことにより,原告Bが化学物質過敏症に罹患した蓋然性が高いといわざるを得ない。マンションのリフォーム工事の見積り比較のサイトも紹介します。
(ア)被告は,平成17年5月6日,増築部分の基礎部に土台を設置する際,土台の基礎部接面部分にクレオソート油Rを塗布したうえ,木工事を開始した。
(イ)その後も木工事が続けられ,同月9日には,増築部分の外枠が木材によって組まれつつある状態となり,翌10日には,増築部分の屋根工事が行われ,窓枠にはサッシが取り付けられた。
(ウ)被告は,翌11日,増築部分の土台にクレオソート油Rを再度塗布した。なお,被告は,同日,原告Bから増築部分の屋根形状が違うとの指摘を受け,前日に施工された屋根を解体した。
(エ)その後,クレオソート油Rの使用は中止され,別の防蟻剤を用意することになったが,クレオソート油Rが2回にわたって塗布された土台部分について,被告がクレオソート油Rを除去するための措置をとるようなことはなかった。
(オ)本件工事は,同月12日以降も予定通り進められ,同日には木工事屋根の作りかえ,同月13日には破風板直し及び大引き敷き込み工事,同月14日には増築部分床根太組及び下地ビルダーパネル貼りが行われた。
(カ)そして,同月16日には,母屋との接続工事が開始され,母屋の接続部分の解体と養生が行われ,翌17日には,母屋と増築部分をつなぐ渡り廊下の造作工事が開始された。
(キ)その後,被告は,同月23日ころから,渡り廊下の造作工事を終えて再び増築部分の床フロア貼りサッシ枠取付け工事を行っていたが,同月27日の夜,原告Aから,原告Cと原告Dの体調が悪いこと,その原因がクレオソート油Rを使用したことにあるのではないかとの連絡を受け,話合いの結果,翌28日をもって本件工事は中止されるに至った。
(ク)原告らは,同月29日,クレオソート油Rによる空気汚染から避難するため,上尾市内の旅館に移り住み,それから約1年間は,旅館や借家を転々としながら生活した。
(2)上記認定事実のほか,上記1(1)の化学物質過敏症の発症原因物質に関する認定事実並びに原告B及び原告Cの症状に関する認定事実に基づき,被告によるクレオソート油Rの使用と原告B及び原告Cの化学物質過敏症の罹患との間に因果関係が存在するか否かについて,以下,検討する。
ア 原告Bについて
(ア)上記1(1)アに認定の事実によれば,化学物質過敏症の発症機序については未解明な部分が多いものの,その発症原因の多くは室内空気汚染(シックハウス)とされていること,その原因物質として建材や内装材などから放散されるホルムアルデヒドやトルエンをはじめとする揮発性有機化合物が指摘され,厚生労働省も13種類の化学物質について室内濃度指針値を策定したことが認められるところ,上記1(1)アの認定事実によれば,クレオソート油Rには,13種類の化学物質は含まれていないものの,ビフェニル,ナフタレンといった揮発性有機化合物が含まれていることが認められるほか,このような揮発性有機化合物の含有量については従来型クレオソートも変わらないことが窺われ,従来型クレオソートによって化学物質過敏症を発症した例が過去にあること(甲44,85)が認められる。そして,上記1(1)イで原告Bの症状について認定したとおり,被告は,平成17年5月6日にクレオソート油Rを増築部分の土台に塗布したところ,原告Bは,クレオソート油Rの強烈な刺激臭に耐えられず,翌7日にクレオソート油Rが入った缶の蓋を閉めて,これをビニール袋に入れて縛ったのであり,その際,クレオソート油Rの臭いを近接して吸引したことが認められるほか,原告Bは,同日以降,それまで全く症状のなかった鼻水が止まらなくなり,他にも肌のピリピリ感や頭痛,吐き気,めまい,喉の腫れ及び下痢を発症したこと,原告Bには,それまで何らアレルギー性疾患や感染症への罹患はなかったこと,上記各種症状を発症した時期において,何か他の原因物質と思われるものに暴露した事実がないことに照らすと,被告がクレオソート油Rを使用したことにより,原告Bが化学物質過敏症に罹患した蓋然性が高いといわざるを得ない。マンションのリフォーム工事の見積り比較のサイトも紹介します。
2011年7月3日日曜日
マンションのリフォーム見積り
ア 原告Bについて
(ア)上記(1)イの認定事実によれば,原告Bは,平成17年5月6日以降,鼻水,頭痛,吐き気,めまい,喉の腫れ,下痢などの症状を発症し,他にも微熱や皮膚の刺激性症状があったほか,月日が経つにつれて,その症状は悪化するとともに多様化し,同年8月26日ころには,主な症状として,様々な臭いが気になること,めまい,両足の冷感やこわばり,外出先の建物内を息苦しく感じること,不眠などの症状を訴えるようになり,筋肉,気管粘膜,心臓・循環器症状,消化器症状,思考力など認識面や情緒面,神経・末梢神経にも様々な症状を発症するようになったことが認められ,症状が多くの気管や臓器にわたっている点,慢性疾患である点において,化学物質過敏症というべき特徴を有しているといえる。
(イ)また,上記(1)イの認定事実によれば,原告Bは,平成17年5月6日以降に上記症状を発症するまで,アレルギー疾患や中毒症状,感染症などに罹患していた事実が認められないこと(原告B)に照らせば,上記各種症状がアレルギー性の過敏状態の発現であるとは認め難いし,上記のような症状の多様性や重さ,発症期間の長さに鑑みれば,原告Bに原告C及び原告Dの将来を案じて心理的負担がかかっていたことを考慮しても,なお,上記各種症状を心因的なものと認めることもできないというべきである。
(ウ)そして,上記認定事実によれば,原告Bは,同年8月26日の問診により,車の排気ガス,タバコの煙,殺虫剤,除草剤,ガソリン臭,ペンキ,シンナー,消毒剤,漂白剤,バスクリーナー,床クリーナー,特定の香水や芳香剤,清涼剤,コールタールやアスファルト臭,マニキュア,除光液,ヘアスプレー,オーデコロン,新しい絨毯やカーテン,シャワーカーテン及び新車の臭い,水道のカルキ臭その他の臭いによって,中程度から重度の上記各症状が出ることが明らかとなっており,上記(ア)の主な症状をも考え合わせれば,原告Bについて,微量な化学物質への暴露に反応を示し,関連性のない多種類の化学物質に反応を示すこと,化学物質暴露により症状が再現することが認められる。また,上記(1)イの認定事実によれば,各種検査によって眼球追従運動障害,平衡機能障害が認められたほか,神経機能検査の結果にも異常が認められたこと,そして,国内では化学物質過敏症の分野における第一人者であるH医師が,原告Bの症状は,問診及び検査結果に基づく日本の判断基準にも,米国のいわゆる「コンセンサス1999」による診断基準にも合致しているとしたうえ,病名を「化学物質過敏症」と診断したことが認められ,これらの事情を総合考慮すると,原告Bは,化学物質過敏症に罹患しているものと認めるのが相当である。
イ 原告Cについて
(ア)上記(1)ウの認定事実によれば,原告Cには,鼻水,喉の腫れ,目のかすみ,原因不明による度々の発熱,咳の症状のほか,様々な臭いが気になること,鼻血が出ること,風邪にかかりやすいことなどの症状があり,気管粘膜,思考力など認識面や情緒面にも様々な症状を発症するようになったこと,平成18年4月末ころからは記憶の障害(喪失,混乱)が顕著にみられるようになり,また,視力の低下が進み左右各0.04まで落ち込んだことが認められ,症状が多くの気管や臓器にわたっている点や慢性疾患である点において,化学物質過敏症というべき特徴を有しているといえる。
(イ)そして,上記(1)ウの認定事実によれば,原告Cは,平成17年8月26日の問診により,車の排気ガス,タバコの煙,殺虫剤,除草剤,ガソリン臭,ペンキ,シンナー,消毒剤,漂白剤,バスクリーナー,床クリーナー,特定の香水や芳香剤,清涼剤,コールタールやアスファルト臭,マニキュア,除光液,ヘアスプレー,オーデコロン,新しい絨毯やカーテン,シャワーカーテン及び新車の臭い,水道のカルキ臭その他の臭いについて,10段階のうち8程度の症状が出ること,また,樹や草,花粉,ハウスダスト,かび,動物のあか,虫さされ,特定の食物などでぜんそく,鼻炎,じんましん,湿疹のようなアレルギー反応について,10段階のうち7程度の症状が出ることを申告したこと,平成18年6月ころからは,化学物質のみならず電磁波にも過敏に反応するようになり,強烈な電磁波を発する電車には,他の乗客の化粧品や衣服の洗剤,オーデコロンなどもあって乗車ができないようになったことが認められ,また,上記(1)ウの認定事実によれば,神経機能検査の結果に異常が認められたこと,原告Cの症状は,平成21年2月4日,国内では化学物質過敏症の分野における第一人者であるH医師によって,問診及び検査結果に基づく日本の判断基準,及び米国のいわゆる「コンセンサス1999」による診断基準に基づき,「化学物質過敏症」と診断されたことが認められるところ,これらの事情を総合考慮すると,原告Cは,化学物質過敏症に罹患しているものと認めるのが相当である。
(ウ)なお,原告Cは,平成15年ころには,溶連菌感染症を起こしたことに加え,アレルギー性鼻炎及び結膜炎,かにやえびなどの食物アレルギーがあることが認められるが,記憶の障害(喪失,混乱)などアレルギー疾患や感染症では説明が困難なものがあること,上記症状の多様性及び重篤さに照らせば,上記症状について非アレルギー性の過敏状態の発現と認めるのが相当である。 マンションのリノベーション工事の見積りの比較のサイトも紹介します。
(ア)上記(1)イの認定事実によれば,原告Bは,平成17年5月6日以降,鼻水,頭痛,吐き気,めまい,喉の腫れ,下痢などの症状を発症し,他にも微熱や皮膚の刺激性症状があったほか,月日が経つにつれて,その症状は悪化するとともに多様化し,同年8月26日ころには,主な症状として,様々な臭いが気になること,めまい,両足の冷感やこわばり,外出先の建物内を息苦しく感じること,不眠などの症状を訴えるようになり,筋肉,気管粘膜,心臓・循環器症状,消化器症状,思考力など認識面や情緒面,神経・末梢神経にも様々な症状を発症するようになったことが認められ,症状が多くの気管や臓器にわたっている点,慢性疾患である点において,化学物質過敏症というべき特徴を有しているといえる。
(イ)また,上記(1)イの認定事実によれば,原告Bは,平成17年5月6日以降に上記症状を発症するまで,アレルギー疾患や中毒症状,感染症などに罹患していた事実が認められないこと(原告B)に照らせば,上記各種症状がアレルギー性の過敏状態の発現であるとは認め難いし,上記のような症状の多様性や重さ,発症期間の長さに鑑みれば,原告Bに原告C及び原告Dの将来を案じて心理的負担がかかっていたことを考慮しても,なお,上記各種症状を心因的なものと認めることもできないというべきである。
(ウ)そして,上記認定事実によれば,原告Bは,同年8月26日の問診により,車の排気ガス,タバコの煙,殺虫剤,除草剤,ガソリン臭,ペンキ,シンナー,消毒剤,漂白剤,バスクリーナー,床クリーナー,特定の香水や芳香剤,清涼剤,コールタールやアスファルト臭,マニキュア,除光液,ヘアスプレー,オーデコロン,新しい絨毯やカーテン,シャワーカーテン及び新車の臭い,水道のカルキ臭その他の臭いによって,中程度から重度の上記各症状が出ることが明らかとなっており,上記(ア)の主な症状をも考え合わせれば,原告Bについて,微量な化学物質への暴露に反応を示し,関連性のない多種類の化学物質に反応を示すこと,化学物質暴露により症状が再現することが認められる。また,上記(1)イの認定事実によれば,各種検査によって眼球追従運動障害,平衡機能障害が認められたほか,神経機能検査の結果にも異常が認められたこと,そして,国内では化学物質過敏症の分野における第一人者であるH医師が,原告Bの症状は,問診及び検査結果に基づく日本の判断基準にも,米国のいわゆる「コンセンサス1999」による診断基準にも合致しているとしたうえ,病名を「化学物質過敏症」と診断したことが認められ,これらの事情を総合考慮すると,原告Bは,化学物質過敏症に罹患しているものと認めるのが相当である。
イ 原告Cについて
(ア)上記(1)ウの認定事実によれば,原告Cには,鼻水,喉の腫れ,目のかすみ,原因不明による度々の発熱,咳の症状のほか,様々な臭いが気になること,鼻血が出ること,風邪にかかりやすいことなどの症状があり,気管粘膜,思考力など認識面や情緒面にも様々な症状を発症するようになったこと,平成18年4月末ころからは記憶の障害(喪失,混乱)が顕著にみられるようになり,また,視力の低下が進み左右各0.04まで落ち込んだことが認められ,症状が多くの気管や臓器にわたっている点や慢性疾患である点において,化学物質過敏症というべき特徴を有しているといえる。
(イ)そして,上記(1)ウの認定事実によれば,原告Cは,平成17年8月26日の問診により,車の排気ガス,タバコの煙,殺虫剤,除草剤,ガソリン臭,ペンキ,シンナー,消毒剤,漂白剤,バスクリーナー,床クリーナー,特定の香水や芳香剤,清涼剤,コールタールやアスファルト臭,マニキュア,除光液,ヘアスプレー,オーデコロン,新しい絨毯やカーテン,シャワーカーテン及び新車の臭い,水道のカルキ臭その他の臭いについて,10段階のうち8程度の症状が出ること,また,樹や草,花粉,ハウスダスト,かび,動物のあか,虫さされ,特定の食物などでぜんそく,鼻炎,じんましん,湿疹のようなアレルギー反応について,10段階のうち7程度の症状が出ることを申告したこと,平成18年6月ころからは,化学物質のみならず電磁波にも過敏に反応するようになり,強烈な電磁波を発する電車には,他の乗客の化粧品や衣服の洗剤,オーデコロンなどもあって乗車ができないようになったことが認められ,また,上記(1)ウの認定事実によれば,神経機能検査の結果に異常が認められたこと,原告Cの症状は,平成21年2月4日,国内では化学物質過敏症の分野における第一人者であるH医師によって,問診及び検査結果に基づく日本の判断基準,及び米国のいわゆる「コンセンサス1999」による診断基準に基づき,「化学物質過敏症」と診断されたことが認められるところ,これらの事情を総合考慮すると,原告Cは,化学物質過敏症に罹患しているものと認めるのが相当である。
(ウ)なお,原告Cは,平成15年ころには,溶連菌感染症を起こしたことに加え,アレルギー性鼻炎及び結膜炎,かにやえびなどの食物アレルギーがあることが認められるが,記憶の障害(喪失,混乱)などアレルギー疾患や感染症では説明が困難なものがあること,上記症状の多様性及び重篤さに照らせば,上記症状について非アレルギー性の過敏状態の発現と認めるのが相当である。 マンションのリノベーション工事の見積りの比較のサイトも紹介します。
2011年7月2日土曜日
リフォーム・リノベーション(マンション)
エ 原告Dの症状について(甲9,36,81,84,乙12の1及び2,15,19,20,原告A,原告B)
(ア)原告Dは,2歳となった平成17年2月22日,松沢医院を受診し,前年に花粉症の症状があったこと,鼻水と目のかゆみがあることを訴えたところ,アレルギー性鼻炎及び結膜炎と診断された。
(イ)原告Dは,クレオソート油Rが使用された同年5月6日以降,鼻水,喉の腫れ,目のかすみ,原因不明による度々の発熱の症状を発症したほか,1日に40ないし50回の水のような下痢が1週間くらい続く状態となった。そこで,原告Dは,同月23日,松沢医院を受診したところ,K医師は,喉の腫れと下痢の症状を認め,原告Bから,防虫用のコールタール(クレオソート)を塗ってから症状が現れた旨の説明を受けた。原告Dは,その後も同医院での受診を続け,同月28日には下痢が続いていることを訴え,同月29日には原告A宅を離れ旅館に移り住んだが,同年6月6日には37.1度の微熱があること,同月13日には微熱が続き,喉に腫れがあることを訴え,同月15日には39.5度の発熱と喉の腫れのほか,発疹が認められた。そして,K医師は同月18日の再診時において,原告Dについて,37.2度の微熱と咳,喉の腫れの症状があることを認めたうえ,「アレルギー性気管支炎及び咽喉頭炎」と診断し,その原因を,原告Bの申告をもとに,「クレオソート用ガス吸入による疑い」とした。また,原告Dは,同月22日の再診時には,鼻水,咳,喉の腫れを訴え,同月29日の再診では,鼻水は止まったが,喉の腫れと微熱が続いていることを訴えた。
(ウ)その後,原告Dは,約2か月の間,医師の診察を受けていなかったが,同年8月22日,松沢医院を受診し,この2か月間,微熱が続いていたことを訴え,北里研究所病院の紹介を受けた。
(エ)そして,当時,2歳11か月であった原告Dは,同月26日に同病院臨床環境医学センターを受診した。原告Dは,同病院において,上記イ(ケ)の原告Bの場合と同様の診療を受けたが,原告Dに代わって原告A又は原告Bが回答した問診・質問票では,現在の主な症状として,発熱と風邪を挙げ,平成17年5月から始まったこと,考えられる原因としてリフォームのクレオソート油Rの使用を挙げるとともに,原告Dにアレルギー性鼻炎及びアレルギー性結膜炎があることを申告した。もっとも,原告Dが臭いについてどう感じているかは不明として,環境暴露及び過敏性の質問票にほとんど記入することができず,日常生活については,食事の摂取に問題がないことを申告した。
(オ)上記問診及び検査結果に基づき,原告Dを診察したH医師は,同日,紹介先の松沢医院のK医師に対し,原告Dの病名を「化学物質過敏症」としたうえ,「小児のために十分な神経系の機能検査ができず,問診が中心となってしまった。シックハウス症候群からの過敏反応の誘発は間違いないと思う。」と報告した。
(カ)原告Dは,同年9月2日,目の周囲に出血斑が斑点状になって出ることを訴えて松沢医院を受診し,同年11月9日には,鼻水,咳の症状を訴えて再受診し,同月16日にも,喉の腫れとたんの症状を訴え,再受診した。
(キ)その後、原告Dは,平成21年2月4日,北里研究所病院を受診したところ,H医師は,「化学物質過敏症」と診断したうえ,「神経系の機能検査でも異常が検出されており,問診と合せて上記診断をする。シックハウスからの発症と考えられ,極めて微量な化学物質に鋭敏に反応する状態」との所見を示した。
(2)上記(1)アに認定の事実によれば,化学物質過敏症という病態は,微量化学物質に反応し,非アレルギー性の過敏状態の発現により,精神・身体症状を示すとされるもの(厚生労働省),あるいは,〔1〕再現性を持って現れる症状を有する,〔2〕慢性疾患である,〔3〕微量な物質への暴露に反応を示す,〔4〕原因物質の除去で改善又は治癒する,〔5〕関連性のない多種類の化学物質に反応を示す,〔6〕症状が多くの器官・臓器にわたっている,と定義されるもの(米国のいわゆる「コンセンサス1999」)として存在することが認められるというべきところ,これを前提に,上記認定事実に基づき,原告B,原告C及び原告Dが,化学物質過敏症に罹患しているか否かについて,以下,検討する。 マンションのリフォーム工事の見積りの比較のサイトも紹介します。
(ア)原告Dは,2歳となった平成17年2月22日,松沢医院を受診し,前年に花粉症の症状があったこと,鼻水と目のかゆみがあることを訴えたところ,アレルギー性鼻炎及び結膜炎と診断された。
(イ)原告Dは,クレオソート油Rが使用された同年5月6日以降,鼻水,喉の腫れ,目のかすみ,原因不明による度々の発熱の症状を発症したほか,1日に40ないし50回の水のような下痢が1週間くらい続く状態となった。そこで,原告Dは,同月23日,松沢医院を受診したところ,K医師は,喉の腫れと下痢の症状を認め,原告Bから,防虫用のコールタール(クレオソート)を塗ってから症状が現れた旨の説明を受けた。原告Dは,その後も同医院での受診を続け,同月28日には下痢が続いていることを訴え,同月29日には原告A宅を離れ旅館に移り住んだが,同年6月6日には37.1度の微熱があること,同月13日には微熱が続き,喉に腫れがあることを訴え,同月15日には39.5度の発熱と喉の腫れのほか,発疹が認められた。そして,K医師は同月18日の再診時において,原告Dについて,37.2度の微熱と咳,喉の腫れの症状があることを認めたうえ,「アレルギー性気管支炎及び咽喉頭炎」と診断し,その原因を,原告Bの申告をもとに,「クレオソート用ガス吸入による疑い」とした。また,原告Dは,同月22日の再診時には,鼻水,咳,喉の腫れを訴え,同月29日の再診では,鼻水は止まったが,喉の腫れと微熱が続いていることを訴えた。
(ウ)その後,原告Dは,約2か月の間,医師の診察を受けていなかったが,同年8月22日,松沢医院を受診し,この2か月間,微熱が続いていたことを訴え,北里研究所病院の紹介を受けた。
(エ)そして,当時,2歳11か月であった原告Dは,同月26日に同病院臨床環境医学センターを受診した。原告Dは,同病院において,上記イ(ケ)の原告Bの場合と同様の診療を受けたが,原告Dに代わって原告A又は原告Bが回答した問診・質問票では,現在の主な症状として,発熱と風邪を挙げ,平成17年5月から始まったこと,考えられる原因としてリフォームのクレオソート油Rの使用を挙げるとともに,原告Dにアレルギー性鼻炎及びアレルギー性結膜炎があることを申告した。もっとも,原告Dが臭いについてどう感じているかは不明として,環境暴露及び過敏性の質問票にほとんど記入することができず,日常生活については,食事の摂取に問題がないことを申告した。
(オ)上記問診及び検査結果に基づき,原告Dを診察したH医師は,同日,紹介先の松沢医院のK医師に対し,原告Dの病名を「化学物質過敏症」としたうえ,「小児のために十分な神経系の機能検査ができず,問診が中心となってしまった。シックハウス症候群からの過敏反応の誘発は間違いないと思う。」と報告した。
(カ)原告Dは,同年9月2日,目の周囲に出血斑が斑点状になって出ることを訴えて松沢医院を受診し,同年11月9日には,鼻水,咳の症状を訴えて再受診し,同月16日にも,喉の腫れとたんの症状を訴え,再受診した。
(キ)その後、原告Dは,平成21年2月4日,北里研究所病院を受診したところ,H医師は,「化学物質過敏症」と診断したうえ,「神経系の機能検査でも異常が検出されており,問診と合せて上記診断をする。シックハウスからの発症と考えられ,極めて微量な化学物質に鋭敏に反応する状態」との所見を示した。
(2)上記(1)アに認定の事実によれば,化学物質過敏症という病態は,微量化学物質に反応し,非アレルギー性の過敏状態の発現により,精神・身体症状を示すとされるもの(厚生労働省),あるいは,〔1〕再現性を持って現れる症状を有する,〔2〕慢性疾患である,〔3〕微量な物質への暴露に反応を示す,〔4〕原因物質の除去で改善又は治癒する,〔5〕関連性のない多種類の化学物質に反応を示す,〔6〕症状が多くの器官・臓器にわたっている,と定義されるもの(米国のいわゆる「コンセンサス1999」)として存在することが認められるというべきところ,これを前提に,上記認定事実に基づき,原告B,原告C及び原告Dが,化学物質過敏症に罹患しているか否かについて,以下,検討する。 マンションのリフォーム工事の見積りの比較のサイトも紹介します。
リノベーション・マンション
(キ)原告らは,同月29日,クレオソート油Rによる空気汚染から避難するため,上尾市内の旅館に移り住んだところ,原告Cの熱が下がり始め,原告Cは,同月30日には元気に登校した。もっとも,原告Bから,クレオソートの中毒かどうかはっきりさせたいとの強い希望があり,原告Cは,同日,上尾中央総合病院小児科を再受診した際,採血を行ってクレオソート血中濃度の検査を受けたが,結局,血中からクレオソートは検出されなかった。
(ク)その後,原告Cは,同年6月6日,松沢医院を受診し,37度前後の微熱と喉に痛みがあることを訴え,同月13日と同月18日に同医院を再受診した際にも,微熱と喉の痛み,咳の症状があったため,K医師は,同日,「アレルギー性気管支炎及び咽喉頭炎」と診断し,その原因について,原告Bからの申告をもとに,「クレオソート用ガス吸入による疑い」とした。また,原告Cは,同月22日及び29日の再診時には,咳はよくなったが,鼻水の症状悪化を訴えるようになった。
(ケ)原告Cは,同月8日,小松眼科医院を受診したところ,両眼の視力低下を指摘され,右が0.2,左が0.2との測定であった。この時,同医院のM医師は,原告Bから「5月27日に散瞳し,39度の熱があった,家の新築時に有機リン系殺虫剤を使用した」旨の説明を受け,同月10日両眼に,「つき,視野狭窄,薬剤中毒の疑い」と診断したが,同月20日には,原因が有機リンではないことを原告Bに説明した。
(コ)その後,原告Cは,約2か月の間,医師の診察を受けていなかったが,同年8月10日及び11日に,埼玉県立小児医療センター眼科を受診し,視力が右0.2,左0.2と測定された。また,原告Cは,同月22日,松沢医院を受診し,北里研究所病院を紹介され,同月26日に同病院臨床環境医学センターを受診した。
(サ)原告Cは,同病院において,上記イ(ケ)の原告Bの場合と同様の診療を受けたが,原告Cに代わって原告Aが回答した問診・質問票では,現在の主な症状として,様々な臭いが気になること,鼻血と鼻水が出ること,咳,発熱があること,風邪にかかりやすいことを挙げ,このような症状が平成17年5月から始まったこと,考えられる原因として,リフォームの防虫,防腐剤,クレオソート油Rの使用を挙げるとともに,原告Cに,湿疹,アレルギー性鼻炎及びアレルギー性結膜炎があるほか,魚介類につき食物アレルギーがあることを申告した。また,原告Bは,原告Cに代わって環境暴露及び過敏性の質問票に記入し,車の排気ガス,タバコの煙り,殺虫剤,除草剤,ガソリン臭,ペンキ,シンナー,消毒剤,漂白剤,バスクリーナー,床クリーナー,特定の香水や芳香剤,清涼剤,コールタールやアスファルト臭,マニキュア,除光液,ヘアスプレー,オーデコロン,新しい絨毯やカーテン,シャワーカーテン及び新車の臭い,水道のカルキ臭その他の臭いについて,10段階のうち8程度の症状が出ること,また,樹や草,花粉,ハウスダスト,かび,動物のあか,虫さされ,特定の食物などでぜんそく,鼻炎,じんましん,湿疹のようなアレルギー反応について,10段階のうち7程度の症状が出ることを申告したほか,「眼の刺激,やける感じ,しみる感じ,息切れ,咳のような呼吸症状,たん,鼻汁がのどの奥の方に流れる感じ,風邪にかかりやすい集中」「力,記憶力,決断力低下,無気力などを含めた思考力低下」「緊張しすぎ,上がりやすい,刺激されやすい,うつ,泣きたくなったり激情的になったりする,以前興味があったものに興味が持てないなどの気分の変調」の各項目について10段階のうち5程度の症状があり,これらの症状は,平成17年5月までは全くみられなかったことを申告した。また,日常生活については,食事の摂取,学校への登校,趣味やレクリエーションを行うことなどには全く障害がないこと,一方で,新しい家具や調度品,衣類の使用,旅行や車のドライブ,防臭剤の使用などについて中程度から重程度の障害があることを申告した。
(シ)そして,原告Cを診察したH医師は,平成17年8月26日,紹介先の松沢医院のK医師に対し,原告Cの病名を「化学物質過敏症」としたうえ,「臭いに敏感になっており,化学物質過敏症となっていると思われる,視力低下の原因を説明することは困難であるが,脳の血圧低下,機能低下は化学物質過敏症の特徴であるため,目の前が暗くなったことの原因は,視覚中枢に何らかの機能低下が生じたためかと思われる」旨を報告した。
(ス)原告Cは,同年9月16日,松沢医院を受診し,微熱や咳,鼻水が止まらないなどの症状を訴えた。
(セ)原告Cは,同月30日に北里研究所病院を再度受診した際,H医師から「シックハウス症候群」と診断され,「小児のため十分な機能検査を行いにくいが,平衡機能障害を明らかに認められること,ただし,生活環境の改善で平衡機能障害も改善されてきていること,また,出血傾向が認められる点もシックハウス症候群の特徴であり,その他の自覚症状は,精神的なものではなく,身体的不調によるものと考えられること,室内空気汚染に極めて鋭敏に反応して症状の悪化をきたす」との所見が示された。原告Cは,このころから,小学校において他の生徒と同室にて授業を受けることが困難な状況が増えてきたため,別室で自習を行うことが多くなり,平成18年4月末ころからは記憶の障害(喪失,混乱)が顕著にみられるようになったほか,頻繁に鼻血が出るようになった。
なお,上記(オ)のとおり平成17年9月27日に予定されていた原告Cの手術は,アレルギー治療のためキャンセルされた。
(ソ)原告Cは,平成18年6月2日,北里研究所病院において「化学物質過敏症」との診断を受けた。当時の原告Cは,化学物質のみならず電磁波にも過敏に反応するようになり,強烈な電磁波を発する電車には,他の乗客の化粧品や衣服の洗剤,オーデコロンなどもあって,乗車できないようになっていた。また,原告Cの通っていた小学校は,夏休みに入って化学成分によるワックスを全館に塗布したため,原告Cは,同年9月の2学期以降,登校ができなくなった。
さらに,原告Cの視力は低下が進み,同年8月31日に埼玉県立小児医療センターの眼科での測定によると,右が0.04,左が0.04であった。
(タ)さらに,北里研究所病院のH医師は,原告Cが平成21年2月4日に再診した際,病名を「化学物質過敏症」としたうえ,「神経系の機能検査で異常が検出されており,問診と合せて,米国及び本邦の診断の基準を基に上記診断をする。シックハウスからの発症と考えられ,微量化学物質に鋭敏に反応するため就学にも支障をきたしている。」との所見を示した。マンションのリノベーション工事の見積りの比較のサイトも紹介します。
(ク)その後,原告Cは,同年6月6日,松沢医院を受診し,37度前後の微熱と喉に痛みがあることを訴え,同月13日と同月18日に同医院を再受診した際にも,微熱と喉の痛み,咳の症状があったため,K医師は,同日,「アレルギー性気管支炎及び咽喉頭炎」と診断し,その原因について,原告Bからの申告をもとに,「クレオソート用ガス吸入による疑い」とした。また,原告Cは,同月22日及び29日の再診時には,咳はよくなったが,鼻水の症状悪化を訴えるようになった。
(ケ)原告Cは,同月8日,小松眼科医院を受診したところ,両眼の視力低下を指摘され,右が0.2,左が0.2との測定であった。この時,同医院のM医師は,原告Bから「5月27日に散瞳し,39度の熱があった,家の新築時に有機リン系殺虫剤を使用した」旨の説明を受け,同月10日両眼に,「つき,視野狭窄,薬剤中毒の疑い」と診断したが,同月20日には,原因が有機リンではないことを原告Bに説明した。
(コ)その後,原告Cは,約2か月の間,医師の診察を受けていなかったが,同年8月10日及び11日に,埼玉県立小児医療センター眼科を受診し,視力が右0.2,左0.2と測定された。また,原告Cは,同月22日,松沢医院を受診し,北里研究所病院を紹介され,同月26日に同病院臨床環境医学センターを受診した。
(サ)原告Cは,同病院において,上記イ(ケ)の原告Bの場合と同様の診療を受けたが,原告Cに代わって原告Aが回答した問診・質問票では,現在の主な症状として,様々な臭いが気になること,鼻血と鼻水が出ること,咳,発熱があること,風邪にかかりやすいことを挙げ,このような症状が平成17年5月から始まったこと,考えられる原因として,リフォームの防虫,防腐剤,クレオソート油Rの使用を挙げるとともに,原告Cに,湿疹,アレルギー性鼻炎及びアレルギー性結膜炎があるほか,魚介類につき食物アレルギーがあることを申告した。また,原告Bは,原告Cに代わって環境暴露及び過敏性の質問票に記入し,車の排気ガス,タバコの煙り,殺虫剤,除草剤,ガソリン臭,ペンキ,シンナー,消毒剤,漂白剤,バスクリーナー,床クリーナー,特定の香水や芳香剤,清涼剤,コールタールやアスファルト臭,マニキュア,除光液,ヘアスプレー,オーデコロン,新しい絨毯やカーテン,シャワーカーテン及び新車の臭い,水道のカルキ臭その他の臭いについて,10段階のうち8程度の症状が出ること,また,樹や草,花粉,ハウスダスト,かび,動物のあか,虫さされ,特定の食物などでぜんそく,鼻炎,じんましん,湿疹のようなアレルギー反応について,10段階のうち7程度の症状が出ることを申告したほか,「眼の刺激,やける感じ,しみる感じ,息切れ,咳のような呼吸症状,たん,鼻汁がのどの奥の方に流れる感じ,風邪にかかりやすい集中」「力,記憶力,決断力低下,無気力などを含めた思考力低下」「緊張しすぎ,上がりやすい,刺激されやすい,うつ,泣きたくなったり激情的になったりする,以前興味があったものに興味が持てないなどの気分の変調」の各項目について10段階のうち5程度の症状があり,これらの症状は,平成17年5月までは全くみられなかったことを申告した。また,日常生活については,食事の摂取,学校への登校,趣味やレクリエーションを行うことなどには全く障害がないこと,一方で,新しい家具や調度品,衣類の使用,旅行や車のドライブ,防臭剤の使用などについて中程度から重程度の障害があることを申告した。
(シ)そして,原告Cを診察したH医師は,平成17年8月26日,紹介先の松沢医院のK医師に対し,原告Cの病名を「化学物質過敏症」としたうえ,「臭いに敏感になっており,化学物質過敏症となっていると思われる,視力低下の原因を説明することは困難であるが,脳の血圧低下,機能低下は化学物質過敏症の特徴であるため,目の前が暗くなったことの原因は,視覚中枢に何らかの機能低下が生じたためかと思われる」旨を報告した。
(ス)原告Cは,同年9月16日,松沢医院を受診し,微熱や咳,鼻水が止まらないなどの症状を訴えた。
(セ)原告Cは,同月30日に北里研究所病院を再度受診した際,H医師から「シックハウス症候群」と診断され,「小児のため十分な機能検査を行いにくいが,平衡機能障害を明らかに認められること,ただし,生活環境の改善で平衡機能障害も改善されてきていること,また,出血傾向が認められる点もシックハウス症候群の特徴であり,その他の自覚症状は,精神的なものではなく,身体的不調によるものと考えられること,室内空気汚染に極めて鋭敏に反応して症状の悪化をきたす」との所見が示された。原告Cは,このころから,小学校において他の生徒と同室にて授業を受けることが困難な状況が増えてきたため,別室で自習を行うことが多くなり,平成18年4月末ころからは記憶の障害(喪失,混乱)が顕著にみられるようになったほか,頻繁に鼻血が出るようになった。
なお,上記(オ)のとおり平成17年9月27日に予定されていた原告Cの手術は,アレルギー治療のためキャンセルされた。
(ソ)原告Cは,平成18年6月2日,北里研究所病院において「化学物質過敏症」との診断を受けた。当時の原告Cは,化学物質のみならず電磁波にも過敏に反応するようになり,強烈な電磁波を発する電車には,他の乗客の化粧品や衣服の洗剤,オーデコロンなどもあって,乗車できないようになっていた。また,原告Cの通っていた小学校は,夏休みに入って化学成分によるワックスを全館に塗布したため,原告Cは,同年9月の2学期以降,登校ができなくなった。
さらに,原告Cの視力は低下が進み,同年8月31日に埼玉県立小児医療センターの眼科での測定によると,右が0.04,左が0.04であった。
(タ)さらに,北里研究所病院のH医師は,原告Cが平成21年2月4日に再診した際,病名を「化学物質過敏症」としたうえ,「神経系の機能検査で異常が検出されており,問診と合せて,米国及び本邦の診断の基準を基に上記診断をする。シックハウスからの発症と考えられ,微量化学物質に鋭敏に反応するため就学にも支障をきたしている。」との所見を示した。マンションのリノベーション工事の見積りの比較のサイトも紹介します。
2011年7月1日金曜日
マンションのリノベーション見積り
ウ 原告Dについて
(ア)上記(1)エの認定事実によれば,原告Dは,鼻水,咳,喉の腫れ,目のかすみ,微熱,下痢などを中心に発症していることが認められるが,化学物質過敏症と認定するにあたって不可欠な「微量化学物質への反応」について,これを認めるに足りる証拠がないほか(なお,上記(1)エ(キ)によれば,H医師は「極めて微量な化学物質に鋭敏に反応する状態」との所見を示しているが,問診票などこれを裏付ける証拠が何ら存在しない以上,直ちにこれを信用することはできない。),その症状の多くが粘膜刺激症状であり,これは,アレルギー疾患や感染症などによっても生じるところ(甲19),上記(1)エの認定事実のとおり,原告Dには平成16年ころから花粉症の症状がみられ,平成17年2月22日にはアレルギー性鼻炎及び結膜炎と診断されていることに照らせば,上記症状が非アレルギー性の過敏状態の発現であると断定することは困難であるから,原告Dについて,化学物質過敏症に罹患しているものと認めることはできない。
(イ)なお,H医師は,平成17年5月26日に,原告Dの症状について「化学物質過敏症」と診断しているが,同医師は,十分な神経系の機能検査ができず,問診が中心となってしまったことを自ら認めており,シックハウス症候群からの過敏反応の誘発であることについても,間違いないと「思う」とするにとどまっていることから,これを採用することはできない。
(ウ)また,H医師は,平成21年2月4日にも原告Dの症状につき「化学物質過敏症」と診断して,神経系の機能検査でも異常が検出されており,問診と合せて上記診断をしたとするが,原告B及び原告Cの場合と異なり,米国の「コンセンサス1999」による基準項目に照らした診断を行っていないし,上記診断の根拠となった問診の内容が何ら明らかにされておらず,微量な化学物質への暴露に反応を示すことを認めるに足りる証拠もないのであるから,このような点を考慮せずに化学物質過敏症と断定した上記診断は,やはり採用し難いというべきである。
2 争点(2)(クレオソート油R使用と化学物質過敏症罹患との因果関係の有無)について
(1)上記争いのない事実等に加え,下記各項目において掲記する証拠及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。
ア クレオソート油Rについて(甲16,17,18,28,39,40,41,43,46,47,乙8)
(ア)クレオソート油Rとは,従来型クレオソート油から,環境に問題のあるベンゾ[a]ピレン,ベンズ[a]アントラセン,ジベンズ[a,h]アントラセンを大幅に削減したものである。
(イ)従来型クレオソート油は,コールタールを蒸留して得られた流出物(200ないし400℃)からナフタレン,フェノール類等を回収した残りの成分を用途に応じて配合した製品であり,その9割以上がカーボンブラック(ゴムの補強材)の原料として利用され,その残りが木材防腐剤として用いられていたが,次第に有害性が問題視されるようになり,東京都や横浜市など地方自治体の一部は,公共事業工事への使用をとりやめ,国も,平成15年ころ,発がん性物質を含むため健康被害が心配されるとして,公共事業工事での使用を禁止した。そして,厚生労働省は,同年10月1日開催の薬事・食品衛生審議会・化学物質安全対策部会において,家庭用品への使用規制として,木材防腐剤の従来型クレオソート油に含まれる化学物質の規制基準を決定した。そこで,当該規制基準に従い,従来型クレオソート油に約3000ppm含まれていた,発がんのおそれがあるといわれているベンゾ[a]ピレン,ベンズ[a]アントラセン,ジベンズ[a,h]アントラセンの含有量をいずれも10ppm以下まで大幅に削減したクレオソート油Rが製造されるようになり,平成16年1月ころから販売が開始された。
(ウ)クレオソート油Rは,上記3物質のほか,労働安全衛生法に基づき通知すべき危険物及び有害物としてビフェニル9.0%,ナフタレン2.4%を含有するが,ホルムアルデヒド,トルエンなど厚生労働省が室内濃度指針値を策定した13種類の化学物質は含まれていない。
(エ)クレオソート油Rについては,次のような使用上の注意点が指摘されている。
・クレオソート油Rが目や皮膚に触れたりすると刺激作用があるほか,高濃度蒸気の吸入により呼吸障害に陥る恐れもあるため,室内など換気の良くない場所での使用は不適である。また,食器や食材に触れたりするような場面での使用や一般住宅の外部(庭など)で,皮膚で触れる場所への使用は避けなければならない。
・クレオソート油には,鼻につく独特の刺激臭があり,この臭いは,防腐効果と同様,長期にわたって持続するため,既築,改築の屋内,床下及び新興住宅地や住宅密集地で隣近所に影響が及ぶおそれがある場面での使用は避けなければならない。
・クレオソート油Rを一度塗布すると除去が困難となり,除去剤や中和剤など即処理できるような薬剤もないため,取り除く場合は,染み込んでいる部分まで削り取るか,そのもの自体を焼却処分にするか破棄処分にすることになる。クレオソート油が衣類に付着した場合は,屋内への持ち込みをせず,破棄するか屋外で捨ててもよいタライなどで手洗いして,日常使っている洗濯機で洗うことは避けなければならない。また,庭に埋められているガーデンエクステリアの枕木を撤去して,家庭菜園を作ろうとする場合,枕木に塗布されていたクレオソート油の有害物質等が庭の土壌に染み込んでいることがあるため,土壌を改良したうえで家庭菜園を作るのが無難である。
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(ア)上記(1)エの認定事実によれば,原告Dは,鼻水,咳,喉の腫れ,目のかすみ,微熱,下痢などを中心に発症していることが認められるが,化学物質過敏症と認定するにあたって不可欠な「微量化学物質への反応」について,これを認めるに足りる証拠がないほか(なお,上記(1)エ(キ)によれば,H医師は「極めて微量な化学物質に鋭敏に反応する状態」との所見を示しているが,問診票などこれを裏付ける証拠が何ら存在しない以上,直ちにこれを信用することはできない。),その症状の多くが粘膜刺激症状であり,これは,アレルギー疾患や感染症などによっても生じるところ(甲19),上記(1)エの認定事実のとおり,原告Dには平成16年ころから花粉症の症状がみられ,平成17年2月22日にはアレルギー性鼻炎及び結膜炎と診断されていることに照らせば,上記症状が非アレルギー性の過敏状態の発現であると断定することは困難であるから,原告Dについて,化学物質過敏症に罹患しているものと認めることはできない。
(イ)なお,H医師は,平成17年5月26日に,原告Dの症状について「化学物質過敏症」と診断しているが,同医師は,十分な神経系の機能検査ができず,問診が中心となってしまったことを自ら認めており,シックハウス症候群からの過敏反応の誘発であることについても,間違いないと「思う」とするにとどまっていることから,これを採用することはできない。
(ウ)また,H医師は,平成21年2月4日にも原告Dの症状につき「化学物質過敏症」と診断して,神経系の機能検査でも異常が検出されており,問診と合せて上記診断をしたとするが,原告B及び原告Cの場合と異なり,米国の「コンセンサス1999」による基準項目に照らした診断を行っていないし,上記診断の根拠となった問診の内容が何ら明らかにされておらず,微量な化学物質への暴露に反応を示すことを認めるに足りる証拠もないのであるから,このような点を考慮せずに化学物質過敏症と断定した上記診断は,やはり採用し難いというべきである。
2 争点(2)(クレオソート油R使用と化学物質過敏症罹患との因果関係の有無)について
(1)上記争いのない事実等に加え,下記各項目において掲記する証拠及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。
ア クレオソート油Rについて(甲16,17,18,28,39,40,41,43,46,47,乙8)
(ア)クレオソート油Rとは,従来型クレオソート油から,環境に問題のあるベンゾ[a]ピレン,ベンズ[a]アントラセン,ジベンズ[a,h]アントラセンを大幅に削減したものである。
(イ)従来型クレオソート油は,コールタールを蒸留して得られた流出物(200ないし400℃)からナフタレン,フェノール類等を回収した残りの成分を用途に応じて配合した製品であり,その9割以上がカーボンブラック(ゴムの補強材)の原料として利用され,その残りが木材防腐剤として用いられていたが,次第に有害性が問題視されるようになり,東京都や横浜市など地方自治体の一部は,公共事業工事への使用をとりやめ,国も,平成15年ころ,発がん性物質を含むため健康被害が心配されるとして,公共事業工事での使用を禁止した。そして,厚生労働省は,同年10月1日開催の薬事・食品衛生審議会・化学物質安全対策部会において,家庭用品への使用規制として,木材防腐剤の従来型クレオソート油に含まれる化学物質の規制基準を決定した。そこで,当該規制基準に従い,従来型クレオソート油に約3000ppm含まれていた,発がんのおそれがあるといわれているベンゾ[a]ピレン,ベンズ[a]アントラセン,ジベンズ[a,h]アントラセンの含有量をいずれも10ppm以下まで大幅に削減したクレオソート油Rが製造されるようになり,平成16年1月ころから販売が開始された。
(ウ)クレオソート油Rは,上記3物質のほか,労働安全衛生法に基づき通知すべき危険物及び有害物としてビフェニル9.0%,ナフタレン2.4%を含有するが,ホルムアルデヒド,トルエンなど厚生労働省が室内濃度指針値を策定した13種類の化学物質は含まれていない。
(エ)クレオソート油Rについては,次のような使用上の注意点が指摘されている。
・クレオソート油Rが目や皮膚に触れたりすると刺激作用があるほか,高濃度蒸気の吸入により呼吸障害に陥る恐れもあるため,室内など換気の良くない場所での使用は不適である。また,食器や食材に触れたりするような場面での使用や一般住宅の外部(庭など)で,皮膚で触れる場所への使用は避けなければならない。
・クレオソート油には,鼻につく独特の刺激臭があり,この臭いは,防腐効果と同様,長期にわたって持続するため,既築,改築の屋内,床下及び新興住宅地や住宅密集地で隣近所に影響が及ぶおそれがある場面での使用は避けなければならない。
・クレオソート油Rを一度塗布すると除去が困難となり,除去剤や中和剤など即処理できるような薬剤もないため,取り除く場合は,染み込んでいる部分まで削り取るか,そのもの自体を焼却処分にするか破棄処分にすることになる。クレオソート油が衣類に付着した場合は,屋内への持ち込みをせず,破棄するか屋外で捨ててもよいタライなどで手洗いして,日常使っている洗濯機で洗うことは避けなければならない。また,庭に埋められているガーデンエクステリアの枕木を撤去して,家庭菜園を作ろうとする場合,枕木に塗布されていたクレオソート油の有害物質等が庭の土壌に染み込んでいることがあるため,土壌を改良したうえで家庭菜園を作るのが無難である。
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リフォーム(マンション)
ウ 原告Cの症状について(甲6,8,11,13,36,80,83,乙10,11,12の1及び2,13,14,18,22,24ないし26,原告A,原告B)
(ア)原告Cは,平成12年2月23日,高熱のため,北里研究所メディカルセンター病院の小児科救急センターに運び込まれたほか,同年11月18日には,同年10月末ころから微熱が続くとして,同病院の小児科を受診した。
また,平成13年3月14日の夜には,入浴中の原告Cの顔面(眼のあたり)にプラスチックの手桶が当たった際,原告Cは,3回大きく息を吸い込むと,痙攣を起こし,白目をむいて倒れ込んだことがあった。そのため,翌15日に北里研究所メディカルセンター病院の小児科及び脳神経外科を受診したところ,原告夫婦は,小児科医から,原告Cの症状について血圧低下による意識障害であり,てんかんの疑いもあると診断され,繰り返すようであれば詳しい検査が必要であるとの説明を受けた。
さらに,原告Cは,5歳となった平成15年ころ,溶連菌感染症を起こし,発熱や扁桃腺炎を発症した。
(イ)原告Bは,生後6か月を過ぎた原告Cに,横目の時の黒目の動きがおかしいことに気がつき,平成11年8月16日,北里研究所メディカルセンター病院の眼科を受診し,その後,受診を重ねたところ,原告Cが9歳4か月となった平成14年11月8日には,両眼につき下斜筋過動症(斜視)と診断され,手術を要すると判断されたため,埼玉県立小児医療センターを紹介された。なお,この時点における原告Cの視力は,右が0.4,左が0.4であった。
また,原告Cは,両眼の痛み又はかゆみを訴えるようになり,平成12年5月5日には,北里研究所メディカルセンター病院において,結膜炎と診断された。
原告Cは,同病院を受診する一方で,平成14年1月31日には小松眼科医院を受診し,下斜筋過動症(斜視)について相談した。その際,原告Bは,問診票に,原告Cが薬や食べ物などでアレルギー症状を起こしたことがあることを申告した。なお,この時の原告Cの視力は,右が1.0,左が1.2であった。
(ウ)原告Cは,平成14年11月20日,埼玉県立小児医療センターを初めて受診したところ,同病院のI医師は,両上斜筋麻痺を伴う下斜筋の過動症と認めたうえ,自然軽快は考えづらく手術が必要と診断したが,悪性高熱の既往症があるため,しばらくはこのまま様子を見ることとした。その後,I医師は,平成16年5月ころ,原告夫婦と相談のうえ,同年の夏休みに手術を行うことを決定したが,手術は,同病院の都合により,同年8月19日にキャンセルされた。なお,原告Cの視力は,平成14年11月20日時点で,右が0.8,左が0.7,平成16年5月21日時点で,右が0.8,左が0.6であった。
そして,平成17年4月21日,原告Cが同病院を再診した際,原告夫婦から,育成医療の適用期間で早めに手術を受けたいとの意向が示されたため,同病院は,順天堂大学医学部付属順天堂医院眼科のJ医師を紹介し,同年5月11日に受診する予定となった。
(エ)その後,被告が本件工事を開始し,同月6日,被告の下請大工がクレオソート油Rを増築部分の土台に塗布したところ,原告Cには,鼻水,喉の腫れ,目のかすみ,原因不明による度々の発熱がみられるようになった。
(オ)原告Cは,同月11日,紹介された順天堂大学医学部付属順天堂医院眼科を受診したところ,両眼につき近視性乱視及び下斜筋過動症と診断され,同年9月27日に手術を行うことが決められた。なお,同年5月11日時点における原告Cの視力は,右が0.2,左が0.15であった。また,原告Bは,上記受診に際して,原告Cにえび,かになどの食物アレルギーがあること,原告夫婦や原告Cの祖父母に,近視や乱視の症状があることを申告した。
(カ)原告Cは,同月27日の夜,突然,目が見えない,まぶしいと言って泣き出し,横にして安静にしていたところ,1時間ほどで39度の高熱を発し,目を確認したところ,瞳孔が開いた状態となっていた。原告Cは,翌28日,松沢医院を受診したところ,松沢医院のK医師は,現在,瞳孔径が約3mm,対光反応は弱めと診断しつつも,もともと斜視で眼位不安定であることを指摘し,問診からクレオソート中毒の疑いがあるとしたが,さらに,詳しく調べる必要があるとして上尾中央総合病院の眼科を紹介した。なお,原告Bは,受診の際,松沢医院の医師に対し,「増築のため床剤に防虫用コールタール系,クレオソートを使用している」と説明したが,K医師は,扁桃炎の疑いがあるとの所見を示していた。
そこで,原告Cは,同日,上尾中央総合病院の眼科を受診したところ,斜視及び乱視と診断され,視力は右が0.3,左が0.7と測定されたほか,38度台の発熱と下痢の症状があったため,同病院の小児科を紹介された。そして,原告Bは,同日,小児科において,原告Cにアレルギー性鼻炎及び結膜炎の既往症があることを申告したうえ,同月6日に1階居間においてクレオソート油を床剤として塗布した後,家族全員に下痢の症状が発生したこと,そして,前日の夜の出来事について説明したところ,同病院小児科のL医師は,眼球運動が正常であること,瞳孔も各径3mmで,対光反射も正常であるとの所見を示したうえ,「5月6日からクレオソートを塗布して,同月27日に突然急性中毒症状が出てくるとは今ひとつ考えがたい・・・発熱もあるため,感冒(夏カゼ)による発熱が原因の可能性を考える」との意見をカルテに記載した。 マンションのリフォーム工事の見積りの比較のサイトも紹介します。
(ア)原告Cは,平成12年2月23日,高熱のため,北里研究所メディカルセンター病院の小児科救急センターに運び込まれたほか,同年11月18日には,同年10月末ころから微熱が続くとして,同病院の小児科を受診した。
また,平成13年3月14日の夜には,入浴中の原告Cの顔面(眼のあたり)にプラスチックの手桶が当たった際,原告Cは,3回大きく息を吸い込むと,痙攣を起こし,白目をむいて倒れ込んだことがあった。そのため,翌15日に北里研究所メディカルセンター病院の小児科及び脳神経外科を受診したところ,原告夫婦は,小児科医から,原告Cの症状について血圧低下による意識障害であり,てんかんの疑いもあると診断され,繰り返すようであれば詳しい検査が必要であるとの説明を受けた。
さらに,原告Cは,5歳となった平成15年ころ,溶連菌感染症を起こし,発熱や扁桃腺炎を発症した。
(イ)原告Bは,生後6か月を過ぎた原告Cに,横目の時の黒目の動きがおかしいことに気がつき,平成11年8月16日,北里研究所メディカルセンター病院の眼科を受診し,その後,受診を重ねたところ,原告Cが9歳4か月となった平成14年11月8日には,両眼につき下斜筋過動症(斜視)と診断され,手術を要すると判断されたため,埼玉県立小児医療センターを紹介された。なお,この時点における原告Cの視力は,右が0.4,左が0.4であった。
また,原告Cは,両眼の痛み又はかゆみを訴えるようになり,平成12年5月5日には,北里研究所メディカルセンター病院において,結膜炎と診断された。
原告Cは,同病院を受診する一方で,平成14年1月31日には小松眼科医院を受診し,下斜筋過動症(斜視)について相談した。その際,原告Bは,問診票に,原告Cが薬や食べ物などでアレルギー症状を起こしたことがあることを申告した。なお,この時の原告Cの視力は,右が1.0,左が1.2であった。
(ウ)原告Cは,平成14年11月20日,埼玉県立小児医療センターを初めて受診したところ,同病院のI医師は,両上斜筋麻痺を伴う下斜筋の過動症と認めたうえ,自然軽快は考えづらく手術が必要と診断したが,悪性高熱の既往症があるため,しばらくはこのまま様子を見ることとした。その後,I医師は,平成16年5月ころ,原告夫婦と相談のうえ,同年の夏休みに手術を行うことを決定したが,手術は,同病院の都合により,同年8月19日にキャンセルされた。なお,原告Cの視力は,平成14年11月20日時点で,右が0.8,左が0.7,平成16年5月21日時点で,右が0.8,左が0.6であった。
そして,平成17年4月21日,原告Cが同病院を再診した際,原告夫婦から,育成医療の適用期間で早めに手術を受けたいとの意向が示されたため,同病院は,順天堂大学医学部付属順天堂医院眼科のJ医師を紹介し,同年5月11日に受診する予定となった。
(エ)その後,被告が本件工事を開始し,同月6日,被告の下請大工がクレオソート油Rを増築部分の土台に塗布したところ,原告Cには,鼻水,喉の腫れ,目のかすみ,原因不明による度々の発熱がみられるようになった。
(オ)原告Cは,同月11日,紹介された順天堂大学医学部付属順天堂医院眼科を受診したところ,両眼につき近視性乱視及び下斜筋過動症と診断され,同年9月27日に手術を行うことが決められた。なお,同年5月11日時点における原告Cの視力は,右が0.2,左が0.15であった。また,原告Bは,上記受診に際して,原告Cにえび,かになどの食物アレルギーがあること,原告夫婦や原告Cの祖父母に,近視や乱視の症状があることを申告した。
(カ)原告Cは,同月27日の夜,突然,目が見えない,まぶしいと言って泣き出し,横にして安静にしていたところ,1時間ほどで39度の高熱を発し,目を確認したところ,瞳孔が開いた状態となっていた。原告Cは,翌28日,松沢医院を受診したところ,松沢医院のK医師は,現在,瞳孔径が約3mm,対光反応は弱めと診断しつつも,もともと斜視で眼位不安定であることを指摘し,問診からクレオソート中毒の疑いがあるとしたが,さらに,詳しく調べる必要があるとして上尾中央総合病院の眼科を紹介した。なお,原告Bは,受診の際,松沢医院の医師に対し,「増築のため床剤に防虫用コールタール系,クレオソートを使用している」と説明したが,K医師は,扁桃炎の疑いがあるとの所見を示していた。
そこで,原告Cは,同日,上尾中央総合病院の眼科を受診したところ,斜視及び乱視と診断され,視力は右が0.3,左が0.7と測定されたほか,38度台の発熱と下痢の症状があったため,同病院の小児科を紹介された。そして,原告Bは,同日,小児科において,原告Cにアレルギー性鼻炎及び結膜炎の既往症があることを申告したうえ,同月6日に1階居間においてクレオソート油を床剤として塗布した後,家族全員に下痢の症状が発生したこと,そして,前日の夜の出来事について説明したところ,同病院小児科のL医師は,眼球運動が正常であること,瞳孔も各径3mmで,対光反射も正常であるとの所見を示したうえ,「5月6日からクレオソートを塗布して,同月27日に突然急性中毒症状が出てくるとは今ひとつ考えがたい・・・発熱もあるため,感冒(夏カゼ)による発熱が原因の可能性を考える」との意見をカルテに記載した。 マンションのリフォーム工事の見積りの比較のサイトも紹介します。
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