2011年5月6日金曜日

マンションのリフォーム価格

(3)被告の債務不履行責任ないし不法行為責任の有無
(原告らの主張)
ア 債務不履行責任
 原告Aは,「健康住宅」であることに重点を置いて要望していたところ,被告は,その要望に応えて天井材,壁材,床材の仕様のみならず,間接資材である下地剤,断熱材,接着剤,防腐剤等についても自然素材のものを使用することを確約して,原告Aと本件請負契約を締結したのであるから,それを実行すべき契約上の本来的給付義務があった。
 それにもかかわらず,被告は,床下処理に柿渋液を使用するとの確約に違反して化学物質であるクレオソート油Rを使用したのであるから,原告Aに対し,本件請負契約上の不完全履行として債務不履行責任を負う。
イ 不法行為責任
 被告は,無添加リフォーム,健康リフォーム,癒し系住宅を掲げて健康住宅を銘打っている会社であり,原告夫婦が「健康住宅」であることに重点を置いて要望していることを理解したうえ,その要望に応えて天井材,壁材,床材の仕様のみならず,間接資材である下地剤,断熱材,接着剤,防腐剤等についても自然素材のものを使用することを確約して,原告Aと本件請負契約を締結したのであるから,被告には,自然素材の材料を使用して,原告らにシックハウス症候群,化学物質過敏症等を発症させない健康に安全な住宅を建築すべき注意義務があった。
 それにもかかわらず,被告は,床下処理に柿渋液を使用するとの確約に違反して化学物質であるクレオソート油Rを使用したうえ,原告らが退去するまでの間,クレオソート油Rを塗布した状態を漫然放置したのであるから,被告には上記注意義務違反があり,原告らに対して不法行為責任を負う。
ウ 予見可能性について
 被告には,クレオソート油Rを使用することにより原告らが化学物質過敏症に罹患することについて,予見可能性があった。すなわち,クレオソート油Rが従来のクレオソート油(以下「従来型クレオソート油」という。)に比べて有害物質が削減されているとしても,有害性が無くなったわけではなく,クレオソート油Rが危険な薬剤であることは,使用上の注意として「床下等を含む家屋内での使用は絶対にしないで下さい」と明記されていることからも明らかである(甲16)。しかも,無添加リフォームを掲げる被告は,シックハウス症候群や化学物質過敏症の原因となる有害物質対策の専門業者であり,クレオソート油Rを有害建材と認識していたし,現に,被告共同代表者Fは当初,自己の責任を認めていたのであるから(甲22),被告において,化学物質を含むクレオソート油Rを使用すれば原告らが化学物質過敏症に罹患することを予見することは容易に可能であったといえる。
(被告の主張)
ア 債務不履行責任について
 否認ないし争う。
イ 不法行為責任について
 被告が「無添加リフォーム」を掲げていることは認めるが,その余は否認ないし争う。
ウ 予見可能性について
 否認する。
 クレオソートは,ベンゾピレン等の化学物質を含有し,その有害性として長期暴露に伴う発ガンのおそれが指摘されているものの,シックハウス症候群の発症原因として厚生労働省が居住室内での指針値を設定する13種類の揮発性有機化合物を含有しておらず(甲17,25),現在も木材の防腐防蟻処理のために広く市販され,使用されている資材である。しかも,被告が使用したのは,従来型クレオソート油から化学物質の含有量を大幅に削減した「環境配慮型クレオソート油R」であって,建築基準法及び住宅金融公庫仕様,住宅性能表示制度でもその使用が推奨されているものであるし(乙6),被告がクレオソート油Rを使用した場所は増築部分の建物土台部分であって,当時は完全に屋外といえる状況にあった。
 そうすると,被告が,このようなクレオソート油Rを屋外で使用することにより,原告B,原告C及び原告Dがシックハウス症候群ないし化学物質過敏症に罹患することについてまで予見することは不可能であり,被告に過失は認められず,被告が原告らに対し債務不履行責任ないし不法行為責任を負うことはない。 マンションのリノベーション工事の見積りの比較のサイトも紹介します。