1 争いのない事実等(証拠を摘示しない事実は,当事者間に争いがない。)
(1)当事者
ア 原告Aと原告Bは夫婦であり,原告C(平成10年1月20日生まれ)は原告夫婦の長女,原告D(平成14年7月17日生まれ)は原告夫婦の長男である。
イ 被告は,平成4年1月22日に設立され,住宅の新築,増改築,修繕を主たる目的とする株式会社である。被告は,無添加リフォーム,すなわち自然素材を中心に使用し,自然素材の本来の機能を十分に生かしたリフォームを掲げており,被告が原告に交付したパンフレット(甲2)には「自然素材を使う無添加リフォームは,有害物質を含む大量生産品を極力使わないだけでなく,家が呼吸しカビやダニの発生をおさえ,シックハウスやアトピーなどの健康被害を少しでもなくすように考えられています。」などの記載があった。
(2)増築工事請負契約の締結
原告夫婦は,平成16年ころから,被告従業員のEから様々な説明を受け,交渉を重ねた。
そして,原告Aは,平成17年1月30日,被告との間において,代金を378万8685円,工期を平成17年1月30日から同年5月末日までとして,埼玉県上尾市ab-cに所在する原告Aの自宅(以下「原告A宅」という。)の増築工事(以下「本件工事」という。)をする旨の請負契約(以下「本件請負契約」という。)を締結した。なお,本件工事の内容は,原告A宅の母屋南側の庭部分に建坪7.5畳ほどの居室(以下「増築部分」という。)を増築したうえ,これと母屋をつなぐ結合廊下を建築するというものであった(乙5)。
(3)本件工事の開始とその後の経緯(甲36,38,乙20)
ア 被告は,同年4月28日に本件工事を開始した。
イ 被告の下請大工は,同年5月6日,防蟻剤を増築部分の土台に使用したところ,原告Bから,臭いが強い,鼻水が止まらないとの苦情があったため,被告は,下請大工の親方に当該防蟻剤の塗布を中断するよう指示し,別の防蟻剤を用意することにした。
ところが,上記指示が親方から子方に伝わらず,同月11日,下請大工の子方が当該防蟻剤を増築部分の土台に再度塗布した。これに気が付いた原告BとEは,大工の親方に対し,再度使用中止の指示をしたところ,同親方は,当該防蟻剤の入った缶を持ち帰った。
ウ 被告は,その後も本件工事を継続して行っていたが,原告Cが同月27日の夜に39度の高熱を発し,目が見えないなどの症状を訴えた。そこで,原告Aが大工の親方に問い合わせると,当該防蟻剤がOのクレオソート油Rであることが判明した。
原告Cの体調不良の原因がこのクレオソート油Rにあると考えた原告Aは,翌28日の夜,原告Bとともに,E,被告取締役のN外1名との間で話し合いを行った結果,本件工事を中止することとした。
エ 原告らは,翌29日,避難することとし,原告A宅を退去して上尾市内の旅館へ移り住んだ。
オ そして,原告Aは,同年6月1日,本件請負契約を解除し,被告に対して増築部分の取壊し撤去を求めた。
カ その後も,原告夫婦は,被告代表者らと話し合いを続け,被告は,同月8日,衣類,寝具類の取替費用として100万円を支払ったが,同年7月31日には話合いが打ち切られ,被告が同年9月8日に申し立てた調停も同年10月7日に不成立となった。
この間、被告は,原告らから,母屋の修復費用,土壌の入替費用,借家の手配,家電製品の手配及び食事の代金を要求され,合計735万7269円を負担した(乙21,証人E)。
キ なお,原告らは,旅館へ移り住んでから約1年間,旅館や借家を転々としながら生活し,その後,一度原告A宅に戻ったが,原告B,原告C及び原告Dは,近隣で行われるアスファルト工事から避難するため,平成18年9月16日から同年12月17日まで那須高原に滞在した。そして,原告らは,平成19年3月28日,北軽井沢にマンションの一室を購入して,同月31日に引っ越したが,原告Aは,東京への通勤のため,平日は原告A宅で単身で生活し,週末だけ北軽井沢の家で過ごしている(甲36,38,原告B)。 マンションのリフォーム工事の見積りの比較のサイトも紹介します。