(キ)原告らは,同月29日,クレオソート油Rによる空気汚染から避難するため,上尾市内の旅館に移り住んだところ,原告Cの熱が下がり始め,原告Cは,同月30日には元気に登校した。もっとも,原告Bから,クレオソートの中毒かどうかはっきりさせたいとの強い希望があり,原告Cは,同日,上尾中央総合病院小児科を再受診した際,採血を行ってクレオソート血中濃度の検査を受けたが,結局,血中からクレオソートは検出されなかった。
(ク)その後,原告Cは,同年6月6日,松沢医院を受診し,37度前後の微熱と喉に痛みがあることを訴え,同月13日と同月18日に同医院を再受診した際にも,微熱と喉の痛み,咳の症状があったため,K医師は,同日,「アレルギー性気管支炎及び咽喉頭炎」と診断し,その原因について,原告Bからの申告をもとに,「クレオソート用ガス吸入による疑い」とした。また,原告Cは,同月22日及び29日の再診時には,咳はよくなったが,鼻水の症状悪化を訴えるようになった。
(ケ)原告Cは,同月8日,小松眼科医院を受診したところ,両眼の視力低下を指摘され,右が0.2,左が0.2との測定であった。この時,同医院のM医師は,原告Bから「5月27日に散瞳し,39度の熱があった,家の新築時に有機リン系殺虫剤を使用した」旨の説明を受け,同月10日両眼に,「つき,視野狭窄,薬剤中毒の疑い」と診断したが,同月20日には,原因が有機リンではないことを原告Bに説明した。
(コ)その後,原告Cは,約2か月の間,医師の診察を受けていなかったが,同年8月10日及び11日に,埼玉県立小児医療センター眼科を受診し,視力が右0.2,左0.2と測定された。また,原告Cは,同月22日,松沢医院を受診し,北里研究所病院を紹介され,同月26日に同病院臨床環境医学センターを受診した。
(サ)原告Cは,同病院において,上記イ(ケ)の原告Bの場合と同様の診療を受けたが,原告Cに代わって原告Aが回答した問診・質問票では,現在の主な症状として,様々な臭いが気になること,鼻血と鼻水が出ること,咳,発熱があること,風邪にかかりやすいことを挙げ,このような症状が平成17年5月から始まったこと,考えられる原因として,リフォームの防虫,防腐剤,クレオソート油Rの使用を挙げるとともに,原告Cに,湿疹,アレルギー性鼻炎及びアレルギー性結膜炎があるほか,魚介類につき食物アレルギーがあることを申告した。また,原告Bは,原告Cに代わって環境暴露及び過敏性の質問票に記入し,車の排気ガス,タバコの煙り,殺虫剤,除草剤,ガソリン臭,ペンキ,シンナー,消毒剤,漂白剤,バスクリーナー,床クリーナー,特定の香水や芳香剤,清涼剤,コールタールやアスファルト臭,マニキュア,除光液,ヘアスプレー,オーデコロン,新しい絨毯やカーテン,シャワーカーテン及び新車の臭い,水道のカルキ臭その他の臭いについて,10段階のうち8程度の症状が出ること,また,樹や草,花粉,ハウスダスト,かび,動物のあか,虫さされ,特定の食物などでぜんそく,鼻炎,じんましん,湿疹のようなアレルギー反応について,10段階のうち7程度の症状が出ることを申告したほか,「眼の刺激,やける感じ,しみる感じ,息切れ,咳のような呼吸症状,たん,鼻汁がのどの奥の方に流れる感じ,風邪にかかりやすい集中」「力,記憶力,決断力低下,無気力などを含めた思考力低下」「緊張しすぎ,上がりやすい,刺激されやすい,うつ,泣きたくなったり激情的になったりする,以前興味があったものに興味が持てないなどの気分の変調」の各項目について10段階のうち5程度の症状があり,これらの症状は,平成17年5月までは全くみられなかったことを申告した。また,日常生活については,食事の摂取,学校への登校,趣味やレクリエーションを行うことなどには全く障害がないこと,一方で,新しい家具や調度品,衣類の使用,旅行や車のドライブ,防臭剤の使用などについて中程度から重程度の障害があることを申告した。
(シ)そして,原告Cを診察したH医師は,平成17年8月26日,紹介先の松沢医院のK医師に対し,原告Cの病名を「化学物質過敏症」としたうえ,「臭いに敏感になっており,化学物質過敏症となっていると思われる,視力低下の原因を説明することは困難であるが,脳の血圧低下,機能低下は化学物質過敏症の特徴であるため,目の前が暗くなったことの原因は,視覚中枢に何らかの機能低下が生じたためかと思われる」旨を報告した。
(ス)原告Cは,同年9月16日,松沢医院を受診し,微熱や咳,鼻水が止まらないなどの症状を訴えた。
(セ)原告Cは,同月30日に北里研究所病院を再度受診した際,H医師から「シックハウス症候群」と診断され,「小児のため十分な機能検査を行いにくいが,平衡機能障害を明らかに認められること,ただし,生活環境の改善で平衡機能障害も改善されてきていること,また,出血傾向が認められる点もシックハウス症候群の特徴であり,その他の自覚症状は,精神的なものではなく,身体的不調によるものと考えられること,室内空気汚染に極めて鋭敏に反応して症状の悪化をきたす」との所見が示された。原告Cは,このころから,小学校において他の生徒と同室にて授業を受けることが困難な状況が増えてきたため,別室で自習を行うことが多くなり,平成18年4月末ころからは記憶の障害(喪失,混乱)が顕著にみられるようになったほか,頻繁に鼻血が出るようになった。
なお,上記(オ)のとおり平成17年9月27日に予定されていた原告Cの手術は,アレルギー治療のためキャンセルされた。
(ソ)原告Cは,平成18年6月2日,北里研究所病院において「化学物質過敏症」との診断を受けた。当時の原告Cは,化学物質のみならず電磁波にも過敏に反応するようになり,強烈な電磁波を発する電車には,他の乗客の化粧品や衣服の洗剤,オーデコロンなどもあって,乗車できないようになっていた。また,原告Cの通っていた小学校は,夏休みに入って化学成分によるワックスを全館に塗布したため,原告Cは,同年9月の2学期以降,登校ができなくなった。
さらに,原告Cの視力は低下が進み,同年8月31日に埼玉県立小児医療センターの眼科での測定によると,右が0.04,左が0.04であった。
(タ)さらに,北里研究所病院のH医師は,原告Cが平成21年2月4日に再診した際,病名を「化学物質過敏症」としたうえ,「神経系の機能検査で異常が検出されており,問診と合せて,米国及び本邦の診断の基準を基に上記診断をする。シックハウスからの発症と考えられ,微量化学物質に鋭敏に反応するため就学にも支障をきたしている。」との所見を示した。マンションのリノベーション工事の見積りの比較のサイトも紹介します。