2011年7月1日金曜日

マンションのリノベーション見積り

ウ 原告Dについて
(ア)上記(1)エの認定事実によれば,原告Dは,鼻水,咳,喉の腫れ,目のかすみ,微熱,下痢などを中心に発症していることが認められるが,化学物質過敏症と認定するにあたって不可欠な「微量化学物質への反応」について,これを認めるに足りる証拠がないほか(なお,上記(1)エ(キ)によれば,H医師は「極めて微量な化学物質に鋭敏に反応する状態」との所見を示しているが,問診票などこれを裏付ける証拠が何ら存在しない以上,直ちにこれを信用することはできない。),その症状の多くが粘膜刺激症状であり,これは,アレルギー疾患や感染症などによっても生じるところ(甲19),上記(1)エの認定事実のとおり,原告Dには平成16年ころから花粉症の症状がみられ,平成17年2月22日にはアレルギー性鼻炎及び結膜炎と診断されていることに照らせば,上記症状が非アレルギー性の過敏状態の発現であると断定することは困難であるから,原告Dについて,化学物質過敏症に罹患しているものと認めることはできない。
(イ)なお,H医師は,平成17年5月26日に,原告Dの症状について「化学物質過敏症」と診断しているが,同医師は,十分な神経系の機能検査ができず,問診が中心となってしまったことを自ら認めており,シックハウス症候群からの過敏反応の誘発であることについても,間違いないと「思う」とするにとどまっていることから,これを採用することはできない。
(ウ)また,H医師は,平成21年2月4日にも原告Dの症状につき「化学物質過敏症」と診断して,神経系の機能検査でも異常が検出されており,問診と合せて上記診断をしたとするが,原告B及び原告Cの場合と異なり,米国の「コンセンサス1999」による基準項目に照らした診断を行っていないし,上記診断の根拠となった問診の内容が何ら明らかにされておらず,微量な化学物質への暴露に反応を示すことを認めるに足りる証拠もないのであるから,このような点を考慮せずに化学物質過敏症と断定した上記診断は,やはり採用し難いというべきである。
2 争点(2)(クレオソート油R使用と化学物質過敏症罹患との因果関係の有無)について
(1)上記争いのない事実等に加え,下記各項目において掲記する証拠及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。
ア クレオソート油Rについて(甲16,17,18,28,39,40,41,43,46,47,乙8)
(ア)クレオソート油Rとは,従来型クレオソート油から,環境に問題のあるベンゾ[a]ピレン,ベンズ[a]アントラセン,ジベンズ[a,h]アントラセンを大幅に削減したものである。
(イ)従来型クレオソート油は,コールタールを蒸留して得られた流出物(200ないし400℃)からナフタレン,フェノール類等を回収した残りの成分を用途に応じて配合した製品であり,その9割以上がカーボンブラック(ゴムの補強材)の原料として利用され,その残りが木材防腐剤として用いられていたが,次第に有害性が問題視されるようになり,東京都や横浜市など地方自治体の一部は,公共事業工事への使用をとりやめ,国も,平成15年ころ,発がん性物質を含むため健康被害が心配されるとして,公共事業工事での使用を禁止した。そして,厚生労働省は,同年10月1日開催の薬事・食品衛生審議会・化学物質安全対策部会において,家庭用品への使用規制として,木材防腐剤の従来型クレオソート油に含まれる化学物質の規制基準を決定した。そこで,当該規制基準に従い,従来型クレオソート油に約3000ppm含まれていた,発がんのおそれがあるといわれているベンゾ[a]ピレン,ベンズ[a]アントラセン,ジベンズ[a,h]アントラセンの含有量をいずれも10ppm以下まで大幅に削減したクレオソート油Rが製造されるようになり,平成16年1月ころから販売が開始された。
(ウ)クレオソート油Rは,上記3物質のほか,労働安全衛生法に基づき通知すべき危険物及び有害物としてビフェニル9.0%,ナフタレン2.4%を含有するが,ホルムアルデヒド,トルエンなど厚生労働省が室内濃度指針値を策定した13種類の化学物質は含まれていない。
(エ)クレオソート油Rについては,次のような使用上の注意点が指摘されている。
・クレオソート油Rが目や皮膚に触れたりすると刺激作用があるほか,高濃度蒸気の吸入により呼吸障害に陥る恐れもあるため,室内など換気の良くない場所での使用は不適である。また,食器や食材に触れたりするような場面での使用や一般住宅の外部(庭など)で,皮膚で触れる場所への使用は避けなければならない。
・クレオソート油には,鼻につく独特の刺激臭があり,この臭いは,防腐効果と同様,長期にわたって持続するため,既築,改築の屋内,床下及び新興住宅地や住宅密集地で隣近所に影響が及ぶおそれがある場面での使用は避けなければならない。
・クレオソート油Rを一度塗布すると除去が困難となり,除去剤や中和剤など即処理できるような薬剤もないため,取り除く場合は,染み込んでいる部分まで削り取るか,そのもの自体を焼却処分にするか破棄処分にすることになる。クレオソート油が衣類に付着した場合は,屋内への持ち込みをせず,破棄するか屋外で捨ててもよいタライなどで手洗いして,日常使っている洗濯機で洗うことは避けなければならない。また,庭に埋められているガーデンエクステリアの枕木を撤去して,家庭菜園を作ろうとする場合,枕木に塗布されていたクレオソート油の有害物質等が庭の土壌に染み込んでいることがあるため,土壌を改良したうえで家庭菜園を作るのが無難である。
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