(イ)したがって,被告によるクレオソート油R使用と原告Bの化学物質過敏症罹患との間には因果関係が認められる。
(ウ)これに対し,被告は,原告Bの化学物質過敏症罹患は,母屋のリフォーム工事,近隣のP社上尾工場からの油の臭い,新車を購入したこと(シックカー)及びアレルギー疾患や精神的ストレスによって発症したものであると主張して,被告によるクレオソート油R使用との因果関係を否定する。
この点,証拠(乙17,18,原告A,原告B)によれば,原告らは,原告A宅に転居するまでの約4年間,新築のマンションで生活していたこと,平成14年に中古の原告A宅を購入し,大規模なリフォーム工事を行ったこと,平成15年に新車を購入し,以後,これを使用していたこと,原告A宅近くのP社の工場から,油のような臭いが漂っていたことが認められるが,原告Bが,クレオソート油Rが使用された平成17年5月6日時点を境に,上記のような症状を発症し始めた経緯に照らすと,被告が主張するような,同時点まで長期間にわたり特に体調に異変をもたらさなかった各事情について,これを原告Bの化学物質過敏症罹患の原因とすることは困難であるし,仮にクレオソート油Rに加えて上記各事情が影響していたとしても,そのことをもって,被告によるクレオソート油Rによって原告Bが化学物質過敏症に罹患したとの上記認定を覆すには足りないから,被告の主張を採用することはできない。
イ 原告Cについて
(ア)上記1(1)ウの認定事実によれば,原告Cは,被告がクレオソート油Rを使用した平成17年5月6日以降,鼻水,喉の腫れ,目のかすみ,原因不明による度々の発熱を訴え,同月11日には急激な視力の低下(右が0.2,左が0.15)がみられたことが認められる。
しかし,他方で,上記1(1)ウの認定事実によれば,原告Cは,平成12年2月ころから,度々微熱や高熱に悩まされていたこと,同年ころ,両眼の痛み又はかゆみを訴えてアレルギー性結膜炎と診断されたこと,他にもアレルギー性鼻炎やかにやえびなどの食物アレルギー,花粉,かび,ほこりなどに対するアレルギーを有していたことが認められるほか,原告Cは,先天的に両眼につき下斜筋過動症(斜視)を患っており,眼位が不安定であったことに加え,視力についても,平成14年11月8日時点で右が0.4,左が0.4と測定され,同月20日時点では右が0.8,左が0.7に上がるなど,もともと不安定な面があったほか,上記のとおり,平成17年5月6日に右0.2,左0.15と測定された視力は,同月29日には右が0.3,左が0.7に回復したうえ,同年6月8日には右が0.2,左が0.2に再び低下したことが認められ,これらの事情に照らせば,原告Cの上記各症状は,必ずしも同年5月6日以降に限って発症したものとはいえず,原告Cの化学物質過敏症の罹患が被告によるクレオソート油Rの使用により引き起こされた蓋然性が高いとまでは認められない。
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